出版社内容情報
ポワロやミス・マープルを生みだし、今も愛されつづける作家クリスティ。その作品には、古き良きイギリスとともに、移りゆく二〇世紀のイギリスが巧みに描き込まれている。カントリー・ハウスの住人たち、多様化するレジャー、使用人と階級文化、女性たちの生き方……。「ミステリの女王」の眼がとらえたイギリスの今と昔。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
70
少し前に『ナイルに死す』のレビューで、「かの国の歴史と社会に通じることで、会話一つとってみてもより深い理解が得られるのではないか」と記したが、注文通りの本が出てきてびっくり。アガサ・クリスティの小説を通して見た、イギリス階級社会の様相を具体的に解説し、作家がその時代的変化にも注意深く向き合い、作品に生かしていることも強調している。英文学専攻という著者の作品紹介の文章は、やや煩瑣な感じではあるが、そこに作品の面白さを読み取る人も多いかもしれない。作家の作品が今尚読み継がれている秘密もその辺にありそうである。2026/10/06
ぐうぐう
28
クリスティのミステリの背景にあるイギリスは古き良きイギリスのように見えて、実は変わりゆくイギリスが描かれていると説く新書。例えば、カントリー・ハウスや使用人など、昔ながらのイメージで登場しているようでいて、そこには新しいイギリスを切り取ろうとするクリスティの試みがある、と。しかし、よくよく考えれば、それは当たり前のことだ。なぜならクリスティは過去のイギリスを舞台にしているのではなく、現代(執筆時)のイギリスを舞台としているからだ。クリスティはあくまで現代作家なのだ。2026/10/23
電羊齋
11
クリスティの作品の背景にあるイギリス社会とその変遷を作品から読み解いていく。階級社会、使用人、カントリーハウス、観光の大衆化、海水浴と日光浴といった行楽、女性・ジェンダー、第一次大戦後から第二次大戦後までの社会の変化、ポワロが外国人である理由とクリスティ作品での外国人表象、映像化作品などについて論じていく。クリスティの作品は「古き良きイギリス」を描いているように見えながら常に新しいイギリス、変わりゆくイギリスを描いているという指摘はうなずける。これからもクリスティ作品をたくさん読んでいきたい。2026/10/25
Gen Kato
7
アガサ・クリスティー解説本は読まずにいられないファン。クリスティーの執筆期間はほぼ半世紀にわたるので、イギリスの20世紀風俗変遷史としても読める、ということがよくわかる。第一次大戦避難民のポワロにはじまり、後期作にはホットパンツのヒッチハイカーまで出てきましたもんね。最初はお茶会で編み物していたミス・マープルもカリブ海まで出張する行動派になるし。映像化作品にまで言及のある良著。2026/10/12
iwasabi47
5
当時の英社会・文物を小説によく取り入れた彼女の作品を「階級」を軸にカントリーハウス・観光・使用人・戦後社会をどう表現してるか論じてる。作品紹介としては読みづらいが、戦間期~戦後イギリスの背景を知って作品を読むにはいいと思います。 ミステリ初心者としては、多いに啓蒙された。 2026/09/29




