岩波新書<br> 学力喪失―認知科学による回復への道筋

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岩波新書
学力喪失―認知科学による回復への道筋

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  • サイズ 新書判/ページ数 330p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004320340
  • NDC分類 375.1
  • Cコード C0237

出版社内容情報

乳幼児は驚異的な「学ぶ力」で言語を習得できる。しかし学校では多くの子どもたちが学力不振に陥り、学ぶ意欲を失ってしまう。なぜ子どもたちはもともと持っている「学ぶ力」を、学校で発揮できないのか。「生きた知識」を身につけるにはどうしたらよいのか。躓きの原因を認知科学が明らかにして、回復への希望をひらく。

内容説明

乳幼児は驚異的な「学ぶ力」で言語を習得できる。しかし学校では多くの子どもたちが学力不振に陥り、学ぶ意欲を失ってしまう。なぜ子どもたちはもともと持っている「学ぶ力」を、学校で発揮できないのか。「生きた知識」を身につけるにはどうしたらよいのか。躓きの原因を認知科学の知見から明らかにして、回復への希望をひらく。

目次

第1部 算数ができない、読解ができないという現状から(小学生と中学生は算数文章題をどう解いているか;大人たちの誤った認識;学びの躓きの原因を診断するためのテスト)
第2部 学力困難の原因を解明する(数につまずく;読解につまずく;思考につまずく)
第3部 学ぶ力と意欲の回復への道筋(学校で育てなければならない力―記号接地と学ぶ意欲;記号接地を助けるプレイフル・ラーニング;生成AIの時代の子どもの学びと教育)

著者等紹介

今井むつみ[イマイムツミ]
1989年慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学。94年ノースウェスタン大学心理学部Ph.D.取得。現在、慶應義塾大学環境情報学部教授。専攻:認知科学、言語心理学、発達心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tamami

116
本書は、本文中でも繰り返し主張されているように、社会の全ての大人、取りわけ教育に関わる仕事をしている人々には必読の文献であると思う。著者の研究グループは、学力回復を図る方法として、こどもたちの多くが困難を感じている「算数文章題」の解法を分析することから始める。見えてきたのは、子どもたちは「割る」「掛ける」「分と時間」といった術語の意味理解が不十分で、問題文の正確な受け取りができず、正解にたどり着けないということである。その理由として、著者は問題解決の上で重要なスキーマ(人が経験から導出した暗黙の知識)が間2024/10/15

けんとまん1007

108
情報と知識と知恵という3つの言葉が浮かんだ。情報を、いくら繰り返し与えても、それが認知されない間は知識にならない。ということは、知識を活かした知恵にもなりえない。その仕組みを、丁寧に書かれていて、なるほどと思うことが多い。その根底にあるのが、そもそも学力とな何か・・という問いだと思う。学力は、学ぶ力である筈なのが、いつの間にか記憶力になっているように思う。わからなくなった時に、一次的に思考を留保することができるかどうか。そこで、違う見方ができるかどうか。そんなことを思う。2024/12/06

南北

67
小学生向けの算数のテストを通じて、子供たちの学ぶ力がなぜ十全に発揮されないのか、その原因と回復への道筋を示した本。どういう知識を持っているかではなく、その知識をどう「生きた知識」として現実の世界に適用していくか、そのために記号接地とアブダクション推論が必要であるとしている。概念の記号接地を自ら抽象化できるか、それともAIの出した答をそのまま受容してしまうかによって今後分断が生じるとする点は特に納得できる見解だと感じた。本書は『算数文章題が解けない子どもたち』の解決編ともいえるもので良書に出会えたと感じた。2025/04/25

うえぽん

56
認知科学・発達心理学の専門家が、小中学生の学力不振の原因として、分数等の概念に係る「記号接地」ができていない問題を指摘し、具体的処方箋まで示した意欲作。教員と共に作成した「たつじんテスト」の解答の分析から、大人は子供が何を理解していないかを理解していないと指摘。文章題の意味を理解できず当てずっぽうに表記された数字を使った計算式を作成して誤答する子供と、記号接地できないため東大二次試験の英語は8割正解できても数学は1点だったChatGPTをパラレルに論じた点が面白い。教育関係者やAI信者に特にお勧めしたい。2025/02/12

みき

55
超絶良書。認知科学という分野を初めて知ったのだが、非常に興味深く読めた。人間の学習のプロセスを言語化するとこんなにも複雑で、そして危うい。学校教育でついていけなくなる人が多くて当然でもあるし、自分が置かれていた環境が恵まれていたということを再認識する良い切欠にもなった。この本の凄いところは解決策もきちんと書いてあること。そして流行りの生成AIについても言及していること。詳細は省くが大規模言語モデルを前提とする生成AIはシンギュラリティに辿り着かないであとうとする自分の仮説と同じでありここも少し嬉しいところ2025/04/18

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