出版社内容情報
本書は「政治的中立性」という曖昧な概念によって人々の言論活動を制限することの危険性を説くものである。公務員や放送への要求であるこの言葉は、いつしか独り歩きし、自由であるはずの私たちの言論空間が委縮して久しい。「何となく、これを言ったらまずいのではないか」という空気は、この国のそこら中に漂っている。
内容説明
本書は「政治的中立性(公平性)」という曖昧な概念で我々の言論が制約されることの危険性を説くものである。多くの場面で我々に求められる「この概念」は独り歩きする。「何となく、まずいのではないか?」と萎縮する空気が、至る所に漂っている。憲法は、このマジックワードに流されず意見を言うことを保障し期待している。
目次
第1章 表現の自由はなぜ重要か(表現の自由とは何か;表現の自由の価値・機能;表現の自由は「優越的地位」を宣言する;間接的な制約も表現の自由の侵害;表現活動への「援助」)
第2章 公務員と政治的行為(占領軍が生んだ国家公務員の政治的行為禁止;休日の選挙ポスター配布の禁止;管理職はアウト、ヒラはセーフ?;地方公務員も政治的行為を禁止されている;政治活動や思想の調査;裁判官の「積極的な政治活動」;裁判官は聖人君子であるべきか?)
第3章 表現活動への「援助」(パブリック・フォーラムの利用拒否;パネル展はパブリック・フォーラムか?;公民館だよりへの「九条俳句」掲載の拒否;市庁舎前広場での集会開催の拒否;県立公園からの追悼碑の排除)
第4章 放送の自由と公平性(放送は政治的に公平であるべきか?;放送に公平性を要求することの問題性;最高裁にとっての放送の自由;海外における放送内容の公平の要求;政権交代を意図した選挙報道?;政府による放送の監督;放送の公平性の確保とは?)
終章 「政治的中立性」と民主主義
著者等紹介
市川正人[イチカワマサト]
1955年生まれ。1979年京都大学法学部卒業。1984年京都大学大学院法学研究科博士後期課程学修認定退学。京都大学法学部助手、三重大学人文学部助教授を経て、1994年より立命館大学法学部教授。2008年京都大学博士(法学)。現在、立命館大学大学院法務研究科特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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