出版社内容情報
三世紀から六世紀の日本列島で造られた、おびただしい数の古墳。人びとはなぜ、憑かれたようにそれらを造ったのだろうか。考古学研究の第一人者が、中国、朝鮮半島の葬制からの影響も視野に入れつつ、古墳の宗教的、社会的役割を考察。ヤマト王権成立との関わりにとどまらず、古墳と埴輪の本質と古代人の他界観に迫る。
内容説明
三世紀から六世紀の日本列島で造られた、おびただしい数の古墳。人びとはなぜ、憑かれたようにそれらを造ったのだろうか。考古学研究の第一人者が、中国、朝鮮半島の葬制からの影響も視野に入れつつ、古墳の宗教的、社会的役割を考察。ヤマト王権成立とのかかわりにとどまらず、古墳と埴輪の本質と古代人の他界観に迫る。
目次
第1章 古墳の出現とその実態
第2章 他界としての古墳
第3章 埴輪の意味するもの
第4章 古墳の儀礼と社会の統合
第5章 古墳の変質と横穴式石室
第6章 古代中国における葬制の変革と展開
第7章 日中葬制の比較と伝播経路
著者等紹介
和田晴吾[ワダセイゴ]
1948年奈良県生まれ。1977年京都大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)。京都大学助手、富山大学人文学部助教授、立命館大学文学部教授、兵庫県立考古博物館館長を歴任。現在、立命館大学名誉教授、兵庫県立考古博物館名誉館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おせきはん
24
重機のなかった当時の古墳造りがどれだけの大事業だったのか、古墳群における古墳の序列、古墳や埴輪からうかがえる当時の死生観、中国や朝鮮半島の影響など、興味深い内容が満載でした。2025/02/15
浅香山三郎
11
2024年はなぜか埴輪をテーマにした展覧会が多かつた。結局それらのどれも、見に行くことができなかつたが、本書は、古代人の他界観を古墳や埴輪のあり方から説くもので面白かつた。また、中国大陸の葬制の影響といふことにも紙幅を割き、それが列島内の他界観とどう絡みあつてきたかといふ点の考察が面白い。他界観といふイメージを扱ふので、当たり前といへばさうなのだが、図版がたくさんあるのがありがたい。2024/09/21
さとうしん
11
古代中国の墓制・葬制の影響という観点から、日本の古墳の時期的な変化と、古墳・埴輪から見出せる葬送儀礼、他界観を議論。キーワードは死者の魂が鳥の先導する船に乗って他界に行くという「天鳥船信仰」ということになるだろうか。中国の影響に関する結びつけがやや安直な気がしないでもないが、古墳建造と王権に関する議論は同時期に出た『王墓の謎』よりは説得力がある。2024/07/02
みのくま
6
本書は、古墳はあくまで墳墓であり、田畑などの灌漑設備としての用途等は後代に再利用されただけであるという。また、古代中国・朝鮮からの影響を色濃く受けつつ、古代日本人のオリジナリティが加わった他界観を表現しているとのことだ。そして古墳はのちに寺社に取って代わられたらしい。ぼくはあまり納得できない論旨であったが、エビデンスを積み上げると本書のような結論になるのかもしれない。また本書では大規模古墳は王権の象徴であり、大衆は酷使されていたと記述する。無論そうなのかもしれないが、あまりに定型的すぎる史観ではなかろうか2024/12/20
chietaro
5
難しかったけど、他界については何となく理解できました。死後の世界を想像しているのは今も昔も変わらないです。比較するためには必要だと思うのですが、やっぱり中国史は難しいです。ヤマトタケルの話と、信仰と鳥の埴輪が結びついたので、そこは良かったです。2024/11/10