出版社内容情報
〈一人前〉としてふるまう。すなわち、話し合いを通して他者と対等にわたりあい、自らの価値と地位を向上させた人びとが、戦後社会を築いてきた。向上にこだわる社会は、ありのままの人を認めないまま、生きづらい現在にいたる。働く場と暮らしの場の声を拾い上げながら、歴史の流れをつかみ、隘路を切りひらく方途を探る。
内容説明
“一人前”としてふるまうこと。すなわち、話し合いを通して他者と対等にわたりあい、自らの価値と地位を向上させた人びとが、戦後社会を築いた。向上にこだわる社会は、ありのままの人を認めないまま、生きづらい現在にいたる。働く場と暮らしの場の声を拾い上げながら、歴史の流れをつかみ、隘路を切りひらく方途を探る。
目次
序章 「一人前」が容易ではなくなった社会で
第1章 目覚めと挫折―戦前の営み
第2章 飛躍と上昇―敗戦~一九七〇年代
第3章 陶酔と錯覚―一九七〇年代~一九九〇年代
第4章 多様化と孤立―一九九〇年代~現在
終章 新たな「一人前」を求めて
著者等紹介
禹宗〓[ウージョンウォン]
1961年韓国生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程中途退学。博士(経済学)。現在―法政大学大学院公共政策研究科教授
沼尻晃伸[ヌマジリアキノブ]
1964年東京生まれ。東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得退学。博士(経済学)。現在―立教大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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oooともろー
4
「承認」がキーワード。権利の承認と価値の承認。生きづらい現代。近現代史を振り返ることで今後の展望を見いだす。2024/08/16
てくてく
4
タイトル買いだったので、読み進めるとちょっと思っていたのとは違うなという印象を持った。一人前というのがあくまでの労働現場における一人前の話しで、要は近代日本の労働者に関する本だった。2024/04/14
二人娘の父
3
日本社会分析の分岐点と成りうる著作。一人前をキーワードに「主として価値の承認──権利の承認を意識しつつ──に注目し」た日本の近現代史研究という試み。つまり日本社会における男女格差の成立と、その解決へのエネルギーをどこに見出すのか。従来のフェミニズムの議論では掬いきれなかった論点への注目だ。「権利意識の低い日本」という枠から飛び出すために何が必要なのか。みずからの価値を承認することから、権利の承認への「飛躍」が必要であると本書は問いかけているように思う。そのための構造的な変化を求める社会運動が待たれている。2024/08/22
takao
2
戦後社会の向上にこだわる社会は生きづらい現在に至る。2024/05/09
mionne
1
女性の社会運動のバックボーンがしれて良かった。2024/11/26