出版社内容情報
今日、キリスト教は性に対して厳格、保守的であるといわれる。しかしキリスト教の長い歴史にあって、キリストは性をめぐって、じつにさまざまな姿で語られ、描かれてきた。ときに「クィア」と形容される性的嗜好を先取りし、ときにジェンダーをめぐっても攪乱されていく。人々の豊かな想像力が育んだ西洋美術の実相に迫る。
内容説明
キリスト教は性にたいして厳格で保守的であるといわれる。しかし中世からルネサンスにかけて、人々は、時にジェンダーの境界をさまよい、時に「クィア」と呼ばれる性的嗜好を先取りしたキリストを描いた。正統と異端のあいだで揺れる神の子のさまざまな姿に、図像と言説から迫る。民衆の豊かな想像力を伝える西洋美術史。
目次
1 クィアなキリスト(キリストとヨハネ;イスカリオテのユダとキリスト;マリアとキリスト)
2 交差するジェンダー(もしもキリストが女性だったら;「傷(ウルヌス)」、「子宮(ウルウァ)」、「乳首(ウベル)」
「スピリット」とは何か)
著者等紹介
岡田温司[オカダアツシ]
1954(昭和29)年、広島県に生まれる。京都大学大学院博士課程修了。京都大学名誉教授。現在、京都精華大学大学院特任教授。専門は西洋美術史、思想史。著書―『モランディとその時代』(人文書院、2003年、吉田秀和賞受賞)『フロイトのイタリア』(平凡社、2008年、読売文学賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kazutox
6
毎度おなじみ岡田先生の本。これで岩波新書4冊目、中公新書は6冊。多作なだけでなく内容も相変わらず濃くて面白い。キリスト教とキリスト教美術でよくこれだけネタが続くなあと感心します。2024/01/28
乱読家 護る会支持!
4
2000年の歴史があり、世界の様々な地域で、様々な解釈をされて、今も残るキリスト教。 一方、性的なものは、人類を支えてきた基本的。 なので、キリスト教をめぐる性的な解釈はいかようにも拡がりますわなぁ、、、という話かと思いました。2024/03/11
erico
3
キリスト教ってこんな面もあったのかと驚く話ばかりでした。図がたくさん紹介されていてとてもわかりやすかったです。 おわりににある、使徒パウロは自己のアイデンティティや帰属意識に固執しようとするあまりに、ややもすると他者に対して不寛容になることをそれとなく戒めている、との紹介文が印象的でした。その考え方で布教するのは大変では?でも大切なことですよね。2024/01/09
takao
2
ふむ2023/12/26
ちゅるふ
0
聖誕祭だしな!2023/12/25