出版社内容情報
有史以来、増加しつづけてきた人類はいま、人類史的な転換点を迎えている。パンデミックや世界戦争による一時的な減少や停滞はあったにせよ、人口増を前提にした政治と経済、文化、社会システムは再構築を迫られている。もはや不可避の未来である世界の人口減少の”最突端”に位置する日本から、サピエンスの未来を考察する。
内容説明
有史以来、増加しつづけてきた人類はいま、人類史的な転換点を迎えている。パンデミックや世界戦争による一時的な減少や停滞はあったにせよ、人口増を前提にした政治と経済、文化、社会システムは再構築を迫られている。もはや不可避の未来である世界の人口減少の“最突端”に位置する日本から、サピエンスの未来を考察する。
目次
序 世界人口の増加と日本の人口減少をどう考えるべきか?
第1章 縮減に向かう世界人口
第2章 持続可能な人口の原理
第3章 多産多死から少産少死へ
第4章 人口が減ると何が問題なのか?
第5章 サピエンス減少の未来
著者等紹介
原俊彦[ハラトシヒコ]
1953年東京都生まれ。人口学者。早稲田大学政治経済学部卒、フライブルク大学博士(Ph.D.)。(財)エネルギー総合工学研究所、北海道東海大学、札幌市立大学を経て札幌市立大学名誉教授。日本人口学会理事、国立社会保障・人口問題研究所研究評価委員などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
111
学生の時に世界の人口は約40億人と習った記憶があるが、もうすぐ80億人に達しつつある。2022年国連の新統計UNWPP22によると、2100年には103億人になるらしい。いつまで増え続けるのかと思うのだが、実は2086年の104億人をピークに減少に転じ、日本の人口減少のような状況になってくるとある。現在の日本の状況は歴史的な人口転換の帰結であり、世界的な流れの先端を行っているに過ぎないと論じている。現在世界で人口が最も多いのはアジアだが、2100年頃にはアフリカとなり、特にサウスアフリカの増加が著しい。2023/08/11
ta_chanko
20
世界人口は今世紀後半には100億人に達しないところでピークをつけ、その後は急速に減少していく。唯一、アフリカ大陸のサブサハラのみ、しばらく人口増加が続き、22世紀はアフリカの世紀となる。世界人口が減少すれば環境問題が解決するわけではなく、むしろ急激な減少によって生態系のバランスが崩れ、自然環境は荒廃する。生物多様性は既に失われており、人間が撤退した後の自然がどうなるのかは予測もつかない。食料やエネルギー生産に携わる人も不足するので、却って厳しい状況になるかもしれない。2023/04/13
まゆまゆ
16
これまで増加を続けてきた世界の人口も2100年までに減少局面に入ると予想され、大きな転換期を迎えることになる。日本は既に人口減少社会へと移行しているが、人口減、出生減を止めることを目指すのではなく、縮減する社会における課題解決を目指す社会へと方針を転換する必要があることを述べていく。アフリカ以外はすべて高齢化と人口減少社会がやってくる未来、か……2023/05/08
Francis
13
「サピエンス減少」とはかなり衝撃的なタイトルだが、読んでみたところ人口学の最新の知見に基づいてこれまでの人類の人口の歩みとこれからを冷静に論じている本であると言える。人口は急激に増加する「人口爆発」もあったのだから急激に人口が減少する「人口爆縮」の可能性、人口の急速な減少も自然界に悪い影響を及ぼしかねないという指摘もその通りだと思った。167頁と言う本の薄さはもう少し何とかならないだろうか、と言う気はするが、人口、そして人口学にまつわる数多くの誤解を正すためにはこのくらい手軽な本も必要と言う事でしょう。2025/02/01
ぬらりひょん
11
日本が少子高齢化の最突端にいることは間違いないけれど、すでに世界中で(特に高所得国で)人口の自然減が進んでいるらしい。このままいくと300年もしないうちに世界人口はピークの100分の1程度まで縮減する。高所得国の人口の趨勢は国際人口移動で決まり、移民国家への移行は避けられない。世界国家間で、あるいは国内の地方自治体間で減少していく人口の奪い合いが起きる。人口が減れば自然が戻って環境にいいのかと思いきや、そういうことでもないらしい。一度破壊されたものは戻らない。で、次は地球外へとその手を伸ばす…ということ?2023/05/19
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