出版社内容情報
元首相銃殺事件と「国葬」が呼び起こした「政治と宗教」の問題をめぐっての緊急出版。統一教会と政治家の協力関係の歴史、右派的主張をもつ宗教勢力の影響力増大、創価学会の変遷と自公連立政権の誕生、フランスのライシテとカルト規制、アメリカの政治と宗教右派など、公共空間が直面している現在の危機を多角的に考察する。
内容説明
元首相銃殺事件と「国葬」が呼び起こした「政治と宗教」の問題をめぐっての緊急出版。統一教会と政治家の協力関係の歴史、右派的主張をもつ宗教勢力の影響力増大、創価学会の変遷と自公連立政権の誕生、フランスのライシテとカルト規制、アメリカの政治と宗教右派など、公共空間が直面している現在の危機を多角的に考察する。
目次
序章 公共空間における宗教の位置
第1章 統一教会による被害とそれを産んだ要因
第2章 統一教会と政府・自民党の癒着
第3章 自公連立政権と創価学会
第4章 フランスのライシテとセクト規制
第5章 アメリカ―政教分離国家と宗教的市民
終章 統一教会問題と公共空間の危機
著者等紹介
島薗進[シマゾノススム]
1948年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専攻、宗教学、近代日本宗教史、死生学。現在、東京大学名誉教授、大正大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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崩紫サロメ
20
安倍元首相殺害事件を受けて「緊急出版」という形で出版されたが、宗教学や宗教社会学を専門とする執筆者たちによって長年考察されてきたテーマである。1960年以降の日本を中心とし、政教分離の有力な先例とされるアメリカ(宗教に友好的)とフランス(宗教に警戒的)の事例を取り上げる。「カルト(セクト)」だけでなく、宗教右派や政治的右派の背後にある宗教性、また創価学会のような宗教政治勢力の公共性についても考察する、コンパクトながら充実した内容である。2023/09/12
おおた
18
安倍元首相殺害によって改めて注目された旧統一教会の問題。数々の事実から政治と宗教が根っこで絡まり、まるで菌従属植物のように一心同体になっている事実が浮き彫りになる一冊。人は合理的な判断や科学的な知識に基づいて考えることはできず、政治は地や人の縁で成り立っている。だからこそ、宗教を媒介にして票を集め、政策を決めてしまう。反共主義を謳いながら、韓国の統一教会に日本の献金が流れ、そこから北朝鮮に渡っていくお金のことを、彼らはどう考えているのだろう?2023/04/22
Satoshi
16
山上容疑者の衝撃的な事件により、統一教会と政治のつながりが明るみになる。変な宗教で霊感商法でだまされた人が多いという軽い認識だったが、「反共」というキーワードだけで、文鮮明に天皇がひれ伏せる儀式をしている宗教を右翼や保守系政治家が手を結ぶ。どんなコメディだよと思う。アメリカでの中絶禁止法の流れなども丁寧に説明されている。熱心でないキリスト教徒であるトランプを熱狂的な福音派キリスト教徒が支持する。冗談のような状態が日米で続いている。政治と宗教の癒着と問題点について簡易に纏められており、良書だと思う。2023/02/17
サラダボウル
10
んー?と思っていたら、図書館予約がきた。2023/05/03
瓜月(武部伸一)
6
参加する読書会の今年7月テキスト。安倍元首相殺害後の緊急出版。内容は、1960年代から現在までの統一教会と自民党の癒着の歴史、創価学会の政界進出と自公政権結成に至る経緯、フランス「セクト(カルト)規制法」とアメリカにおける宗教的市民の存在等、宗教の政治活動が及ぼす「公共空間」の危機について書かれる。衝撃的な安倍暗殺後1年以上を経過し、統一教会の問題は報道で取り上げられることも少なくなった。だが、何が解決したのだろう?安倍と並び、自民党と統一教会を結ぶキーマン細田博之は未だ衆議院議長の座にいて何も語らない。2023/09/04
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