出版社内容情報
水面下で大きく構造転換していたアベノミクス。金融政策から財政政策へのシフトは、いつ、どのように起きたのか。日銀は何を考えていたのか。財政当局はどう動いたのか。財政再建特命委員会や財政政策検討本部の全議事録を独自に入手、さらに内部資料、各種証言などを材料に立案過程を詳らかにし、毀誉褒貶激しい政策を徹底検証する。
内容説明
水面下で大きく構造転換していたアベノミクス。金融政策から財政政策へのシフトは、いつ、どのように起きたのか。日銀は何を考え、財政当局はどう動いたのか。財政再建特命委員会や財政政策検討本部の全議事録を独自に入手、内部資料、各種証言なども材料に立案過程を詳らかにし、毀誉褒貶激しい政策を徹底検証する。
目次
第1章 特命委員会
第2章 遠い目標
第3章 財務省の混乱、問われる日銀
第4章 コロナ禍の菅政権とアベノミクス
第5章 論文次官vs元首相
第6章 積極財政派は何を主張したのか
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
107
アベノミクスは池田内閣の高度経済成長、田中内閣の列島改造論に次ぐ戦後有数の鮮明な経済政策であった。しかし異次元の金融緩和や日銀による国債の大量買入れなど過去とは全く異なる手法が採用された上、提唱者の安倍元首相が暗殺に斃れたこともあって評価停止状態にある。元首相をはじめアベノミクスの立案実行に携った政治家や日銀・財務省幹部らの動きを辿り、それぞれの立場や主張を政策に反映させようとする姿を描き出す。いずれ来る神格化なき検証の日に備えて、方針を決める側にいた面々のアリバイ調査の基礎資料作りを目指しているようだ。2023/03/18
coolflat
17
ⅱ頁。当初の「できるだけ早期に物価上昇率を2%に引き上げる」というアベノミクスの目標を達成できずに終わった日銀は、膨れ上がったツケを慎重に処理しようとしている。一方、経済政策では財政に比重が移った。当初アベノミクスの看板となった「デフレは貨幣的な現象なのだから金融緩和で克服できる」というリフレ派の主張は、「消費税を引き上げたのでデフレ脱却の勢いが削がれた」と変化し、今は「財政出動でもデフレは解消できる」というMMTの隆盛に乗って積極財政を主張している。安倍も途中から金融政策に興味を失い財政政策へと傾斜した2024/01/12
Daisuke Oyamada
16
安倍総理や、黒田日銀元総裁など、 アベノミクスに関わった多くの人たちの 発言や、会合でのエピソードや発言内容など。 とても丁寧に綴られています。 単純に、金を注ぎ込めばなんとかなる。 そう考えたアベノミクス。 金を入れても入れても効果が出ない。 現状維持がやっとのところ。笑 それでも十分凄いことだと、個人的には思う。笑 良く言えば、「試行錯誤」 悪く言えば、・・・ https://190dai.com/2023/06/19/アフター・アベノミクス-異形の経済政策はいかに/2023/06/19
MioCastello
13
当時は知りえなかった裏話を散りばめながら展開される数々のエピソードがこの上なく面白い。誰が積極財政派で誰が緊縮財政派なのかを整理し再認識するのには最適の書。ジャーナリストとして中立で在ろうとする意図は感じるが、実際には判官贔屓的なストーリーに沿った結論ありき。財務省に対する批判的見解は至極真っ当だが、積極財政に対しても否定的なスタンスが垣間見れて残念。2024/02/08
駒場
10
「三本の矢」を掲げて始まったアベノミクスで、いかに安倍が金融政策への興味を失っていったか、その後財政政策は自民党でどう議論されたか、安倍退陣・安倍死去後は……といったことをオーラルヒストリー中心に概観する。大規模緩和をしても上がらない物価に批判が集まることでイラついた安倍陣営が、「期限を区切った物価目標」に愛想を尽かしMMTに飛びついた結果、党内の財政再建派が追い込まれていく様子はイヤな感じにドラマチックだ。政策立案プロセスを後世の人間が振り返るために残された努力の本。政治に一貫性があるって幻想なんです2024/05/17
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- 和書
- 野あざみの栞




