出版社内容情報
ありふれた日常の中で、読書という行為がどれほどの豊かな時間を与えてくれることか。三十年以上、全員が同じ作品を読んできて語り合う会に途切れることなく参加してきた著者が、その「魂の交流の場」への想いを味わい深い文章で綴る名エッセイ。読書会の作法やさまざまな形式の紹介、潜入ルポ、読書会記録や課題本リストも。
内容説明
ありふれた日常の中で、読書がどれほどの豊かな時間を与えてくれることか。全員が同じ作品を読んできて語り合う会に、三十年近く途切れることなく参加してきた著者が、その「魂の交流の場」への想いを味わい深い文章で綴る名エッセイ。読書会の作法やさまざまな形式の紹介、潜入ルポ、読書会記録や課題本リストも付す。
目次
1 読書会に参加してみよう
2 読書会に潜入してみる
3 司書として主催する
4 文学に生かされて1
5 文学に生かされて2
6 翻訳家の視点から
7 読書会の余韻に浸る―「読書会報告」から
付録・読書会報告 『失われた時を求めて』を読む
著者等紹介
向井和美[ムカイカズミ]
翻訳家。東京都内の私立中高一貫校の図書館司書。早稲田大学第一文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
119
非常に興味深い本でした。私も若い頃は読書会(主に経済書など硬い本)などに出ていたのですが最近は面倒になってそのような場所に出たことはありません。読書会で選ぶ本というのは結構難しいのでそこがポイントになると思われます。ベストセラーとか簡単な小説などは読書会で選ぶ本には普通入れないと思います。ここに書かれているん本は非常にぴったりとしたものが多いと思いました。プルーストやドストエフスキーなどはその点ではぴったりな感じがします。読書会の雰囲気などうまく書かれていると感じました。2022/07/16
あすなろ
114
35年間読書会に参加してきたという著者。一番衝撃だったのは、読もう読もうと思っている古典名著が読めず50歳代に、という箇所。ビクッとしましたね。僕の事ですね。こうした面等捉え、読書会の効能を説く。またその他の中高校の図書館司書としての記述等、読書好きには興味深い本であった。読書会には惹かれるのですが、しかも著者の言われるとおり直の会参加が良いとも思うのですが、仕事時間の確保と近場で魅力的なものがないとなると。それが一つの言い訳の様に聞こえてしまう魅力的な内容であった。後、海外古典の魅力的なガイドの側面あり2022/08/28
kaoru
103
長年読書会に参加されてきた翻訳家の向井和美さん。辛い少女時代に読書にのめり込んだことが人生の基盤となっており、司書として中高一貫校で読書会にも関わる。取り上げられた本には『日の名残り』『八月の光』など私の愛読書もあり嬉しかった。「本は自分の人生を映し出す鏡」「読書に肩書は不要」と書く彼女は参加した様々な読書会の様子や翻訳の師匠・故東江一紀氏の思い出を綴る。シモーヌ・ヴェイユのくだりには胸を衝かれた。どのページを開いても読書、ひいては人生に対する彼女の真摯さが伝わる。古典を読む重要性を改めて認識させられた。2025/01/19
まこみや
93
前半は主として読書会の企画や参加の呼び掛けである。筆者は読書会を成功させるヒントをあれこれ提案している。いずれも示唆に富む助言だが、いやしくも読書会と冠する限り必須の大前提があるだろう。それは構成員がみんな「本好き」だということだ。本を読むことが好きで、ある程度の読書量を継続的に維持している人たちの自主的な集いであってこそ初めて読書会は成り立つと言える。後半はそうした幸福な読書会の報告書だ。文学を語ることを通じてまさしく著者の人生を語っている。読書会での反芻は料理(本)の味を一層引き立てるに違いない。2022/06/28
ルピナスさん
91
私の小さな読書会のメンバーは家族のみ。でも、いつか外部の読書会に参加してみたい。読メで255字に想いを纏めているが、心の中にはその何倍もの想いがバラバラと存在し、他の人と語り合いたいと思う事が多々ある。作者は翻訳家兼学校司書であり、現実世界から違う空間への逃避という読書による救いを身をもって理解している。読書会の課題本は自分の趣向に合ったものではない可能性も大きいし、自分の表現力の少なさに初めは愕然とし、その現実が参加の壁となる気がする。でも、本を通じた一期一会は素敵。憧れるだけでなく飛び込んでみたい。2022/08/26
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