出版社内容情報
「歴史総合」の授業では、教室での「私たち」が、教科書をはじめとする、「私たち」を主語にした「歴史叙述」を解釈し、歴史の知識と歴史的思考力をむすびつけ、〈いま〉と過去とを往還する「歴史実践」の対話を行うことが求められる。本巻は、シリーズ第1巻の総論的な『世界史の考え方』に続き、歴史を学ぶ営みに迫る。
内容説明
「歴史総合」の授業では、教室の「私たち」が、教科書や資料をもとに、「私たち」を主語にした「歴史叙述」を解釈する。歴史の知識と今を生きる自らの歴史的思考力を結びつけて、「歴史実践」を行うことが求められる。シリーズ第一巻の総論的な『世界史の考え方』に続き、本巻では様々な資料を題材に、歴史を学ぶ営みに迫る。
目次
1 「歴史叙述」と「歴史実践」(歴史像を伝える;明治維新の「歴史像」)
2 「歴史総合」の歴史像を伝える(「近代化」の歴史像;「大衆化」の歴史像;「グローバル化」の歴史像)
著者等紹介
成田龍一[ナリタリュウイチ]
1951年生まれ。日本女子大学名誉教授。専攻‐近現代日本史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
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KAZOO
79
三部作の「歴史総合を学ぶ」シリーズのうちの第2冊目で今回は歴史叙述と歴史実践ということを中心に説明されています。2018年の学習指導要領の歴史総合について掲載されていてそれにのっとっての考え方が実例の文献とともに説明されています。当然のことながら教師を対象として書かれていると思うのですが、学生もこの本を読んで今までの編年体的な学習の仕方(何年にどんな出来事があった)よりもその事象が起きた原因などを考えていくということなのでしょう。日本史と世界史的な分け方もなくなるのでしょう。2022/07/05
みこ
27
歴史を学ぶということに関して学校教育とは異なる焦点を当てる。当事者の肉声を重視し、何時、誰が、何をしたかを丸暗記するのではなく、人々の生活や思想がどのように変わっていったかを学ぶことができる。興味深く読むことができた。結婚観や貞操観念を反映した明治期の人生相談はちょっと面白かったのでこれをまとめた一冊がどこかにあったら読んでみたい。2022/07/31
venturingbeyond
26
シリーズ「歴史総合を学ぶ」の第2弾。日本を代表する近代史家の一人である著者が、日本の近代を、歴史総合のキー概念である「近代化(≓19C後半)」・「大衆化(≓20C前半)」・「グローバル化(≓20C後半)」の観点から、多様な史料を提示して、時代の特色を示す歴史叙述のあり方を考察している。冒頭に示されている通り、「ジェンダー史」の視点から、日本の近代史を整理し直す必要性を強調し、本書の中でこれを実践してみせている点が特徴的。色々と高校での授業実践に活用できそうなヒントがあり、高校地歴科教員必読の一冊です。2022/07/11
まえぞう
22
シリーズ2冊目は、歴史総合の中心課題である近代化、大衆化、グローバル化についての議論を、日本の事例に則して進めます。1冊目と同じく、特定の著作や事象に焦点をあてつつ、どう学べば良いかに力点がおかれます。かなり断定的に割り切った解釈も提示されますが、その解釈を説明したいというよりは、その解釈に至る流れを学んで欲しいということだと思います。2023/02/08
さとうしん
18
歴史叙述=テキストをいかに歴史実践=授業に落とし込むかを論じる第1部と、歴史総合の三つの核、すなわち「近代化」「大衆化」「グローバル化」に関係する多様な史資料を提示し、そこから読み取れるものについて論じる第2部から成る。第1部で、その時々の授業実践が(その当時の)現在の問題意識と結びついているのを面白く読んだ。教科の枠組みは変わってもそこは今も昔も変わらない。2022/07/07