出版社内容情報
中華と夷狄の抗争、華北と江南の対立、草原と海洋の相克--明の時代とは、このような混沌とした状況に対する解答であった。第四巻は、一四世紀の元末から清が台頭する一七世紀まで、三〇〇年にわたる明の興亡を描く。中国社会の多元性・多様性に対して、一元化・画一化の力学がどのように働いたのか、その顛末がここにある。
内容説明
中華と夷狄の抗争、華北と江南の対立、草原と海洋の相克―明の時代とは、このような混沌とした状況に対する解答であった。第4巻は、一四世紀の元末から清が台頭する一七世紀まで、三〇〇年にわたる明の興亡を描く。中国社会の多元性・多様性に対して、一元化・画一化の力学がどのように働いたのか、その顛末がここにある。
目次
第1章 明初体制の成立
第2章 明帝国の国際環境
第3章 動揺する中華
第4章 北虜南倭の世紀
第5章 爛熟と衰勢の明帝国
第6章 明から清へ
著者等紹介
檀上寛[ダンジョウヒロシ]
1950年生まれ。京都大学大学院博士課程修了。文学博士。現在‐京都女子大学名誉教授。専攻‐中国近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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skunk_c
59
シリーズ4冊目。前3冊で描かれた対立軸を止揚すべく「海禁=朝貢体制」を確立したというのが本書の見立て。明代においてその体制自体は揺るいでいないという見方から、宋~清を中国世界システムの「長い近世」と位置付け、欧米中心史観のウォーラーステイン流世界システムやグローバル・ヒストリーの見方にやんわりと異議申し立てをしている。シリーズを通じた刺激的な歴史観で、この流れから習近平体制を位置づけるのは相当面白そう。ただ、外部からの銀流入が大きな役割を持ったことは本書も当然認めていて、そのあたりの評価がポイントかな。2020/06/17
サアベドラ
44
新書中国史第4巻。2020年刊。著者の専門は明初政経史。14世紀の危機を経て成立した大明は、他のモンゴル後継国家と異なり内向きで専制的な「硬い」帝国として始まった。この体制が国内の矛盾と国際情勢の変化によりほころび始め、17世紀の危機を迎えて急速に瓦解したと説く。ただし、近年のグローバル・ヒストリーの枠組みで語られる銀の世界流通によるインパクトは明に関しては過剰評価であり、明代に完成した東アジア版近世世界システムである「朝貢一元体制」を突き崩すには至らなかったとする。前3巻の内容の総括と発展といった内容。2020/07/30
kk
36
明朝一代の歩みを概観しつつ、その成立・変容の意義等をコンパクトに論ずる。「14世紀の危機」の下に華夷・南北・海陸の軋轢が極まる中、それらを止揚するものとして成立したのが明初の「固い」体制、すなわち、社会の自律的な発展契機を国家が力づくで押さえ込むことによって安定を図るシステムという見方。社会・経済の発展によってこの「固い」体制が食い破られていくのが明朝の歴史と論ずる。基本的な視点がはっきりしていて、読んでいて小気味良い。それにしても、この明初の「固い」体制とやら、いろんな点で毛沢東主義にクリソツですね。2020/07/01
まえぞう
36
シリーズ4冊目です。5冊シリーズの中国史で、1冊が明だけに割かれるのは異例だと思います。中華の形成、江南の発展、北方との関係ときて、現代の中国なるものの基礎が出揃ったのが明ということでしょうか。中華と夷狄、北と南、海洋と大陸という3つの対立軸を置きつつ、近代から現代につながる清への橋渡しをしたという印象でした。2020/05/24
だまし売りNo
29
靖難の役(靖難の変)は明朝初期に燕王が建文帝に対して起こした内戦で、勝利した燕王が永楽帝となった。靖難は「君難を靖んじる」という燕王側の主張であり、君側の奸を除くという大義名分だった。結果は権力の簒奪であるが、最初は建文帝側が諸王の勢力を削ぐために、冤罪で諸王を削藩し、庶民に落としたり、自殺に追い込んだりした。これが問題であった。 2022/06/29