出版社内容情報
南の中原に拠る農耕王朝と北の草原に拠る遊牧王朝。生業を異にする二つの王朝は、千年にわたり対峙し、たがいに覇権を争った。五胡十六国の戦乱から大元ウルスの一統まで、騎馬軍団が疾駆し隊商が行き交う、広大なユーラシア東方を舞台に展開する興亡史。伝統的な中華史観の枠組みを超え、多様な民族が往来する多元世界の歴史を描きだす。
内容説明
南の中原に拠る農耕王朝と北の草原に拠る遊牧王朝。生業を異にする二つの王朝は、千年にわたり対峙し、たがいに覇権を争った。五胡十六国の戦乱から大元ウルスの統一まで、騎馬軍団が疾駆し隊商が行き交う、広大なユーラシア東方を舞台に展開する興亡史。中華史観の枠組みを超え、多様な民族が往来する多元世界を描きだす。
目次
序章 ユーラシア東方史と遊牧王朝
第1章 拓跋とテュルク
第2章 契丹と沙陀
第3章 〓淵の盟と多国体制
第4章 金(女真)の覇権
第5章 大モンゴルと中国
著者等紹介
古松崇志[フルマツタカシ]
1972年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程退学、博士(文学)。専門はユーラシア東方史。現在、京都大学人文科学研究所准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
97
2巻に引き続いて同じ時代(1300年ごろまで)を草原と中原地域に絞っての分析です。ユーラシア東方史がご専門の先生で非常にきめ細かな叙述でわかりやすく説明されています。せいぜいジンギスカンやフビライカンくらいと元寇のはなししか記憶に残っていないのですが、経済政策なども含めて中国のこの時代をよく知ることができました。2020/05/23
skunk_c
64
草原、つまり遊牧と農耕の遷移帯(ほぼ明代の万里の長城あたり)に注目し、北方の広大な遊牧地帯に暮らす諸民族が、いわゆる漢族と呼ばれる農耕民の社会とどのようにかかわりながら、盛衰を繰り返してきたかが語られる。前巻とほぼ同時代を扱っており、並行して読むのも良いか。クビライの大元ウルス(いわゆる元朝)が現在の中国に繋がるという壮大な歴史観は、今後の巻を読むひとつの視点になる。ただ難を言えば、前巻が上手い例えを使うなどとても読みやすかったのに対し、本巻は少し文章が硬いかな。著者の個性だろうけど内容がいいだけに残念。2020/03/31
サアベドラ
36
新書中国史第3巻。中原の中華王朝に対置される草原の遊牧王朝の興亡と、モンゴル期に完成する草原と中原の融合の過程を描く。著者の専門は契丹(遼)から金までの北方国際関係史。2020年刊。草原が中原を征服し中原が草原を同化したという従来の一方向的な歴史観は、近年の研究によってより双方的な方向に修正されつつあるという。具体的には北魏~隋唐における鮮卑拓跋部(タブガチ)と後唐~北宋における沙陀系突厥(テュルク)の影響や、遼や金など遊牧諸国家の成立における漢人の関与など。漠然と知っていたことを具体的に知れて良かった。2020/06/21
kk
34
東アジアという従来の枠組みを超えて、「東ユーラシア」という視点に立って4世紀から14世紀までのこの地域の歴史を論ずる。単に周辺民族や制服王朝の消長を追うのではなく、狩猟・放牧社会と農耕社会の接壌地帯に着目し、そうしたエリアでの両者の相互作用こそが東ユーラシア全域の歴史を動かす原動力であったと説くもの。空間的にも時間的にも、気宇壮大。「澶淵体制」を基調とする「多国システム」の重要性の指摘もグッド。他方、地名であれ人名であれ、比較的マイナーな固有名詞がテンコ盛りなので、ある程度の前提知識が要求される一冊。2020/11/07
まえぞう
33
第3巻は北方との関わりです。中原北方から西方に帯状に延びる遊牧にも農耕にも利用できる地帯を巡って、北方の遊牧民族と中原の農耕民族のせめぎ合いが、大モンゴルによる統一と統治まで、主として遊牧民族の視点から解説されます。そうなると東アジアというくくりでは狭すぎて、ユーラシア東方という概念を提案してます。昔、漢までの中国と五胡十六国を経た唐以降では民族ががらりと入れ替わるという話しを読んだことを思い出しました。2020/03/26
-
- 和書
- 4級漢字検定 〈’99〉