出版社内容情報
血で血を洗う戦国乱世、華々しく天下を目指した大名たち、のはずが!? 厄介な隣国、勝手な家臣、喧嘩に盗みに所有地争い、この世はもめごとの種ばかり。新たな社会のルール作りに懸命に挑んだ大名たちを待ち受けていた運命とは──。
内容説明
時は戦国乱世、華々しく天下を目指した大名たち、のはずが!?厄介な隣国、勝手な家臣、喧嘩に盗みに所有地争い、この世はもめ事の種ばかり。新たな法の制定により、中世以来の民間習俗・法慣習の壁を超えようと懸命に挑んだ大名たちの運命は―。史料の緻密な解読に社会の本質が鮮やかに浮かぶ。骨太の歴史学の醍醐味!
目次
第1章 結城政勝と「結城氏新法度」―大名と家臣たち
第2章 伊達稙宗と「塵芥集」―自力救済と当事者主義
第3章 六角承禎・義治と「六角氏式目」―戦国大名の存在理由
第4章 今川氏親・義元と「今川かな目録」―分国法の最高傑作
第5章 武田晴信と「甲州法度之次第」―家中法から領国法へ
終章 戦国大名の憂鬱
著者等紹介
清水克行[シミズカツユキ]
1971年、東京生まれ。立教大学文学部卒業、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、明治大学商学部教授。専攻は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
98
日本史の教科書で名前と制定者は記されているけど、その内容に対しては触れられない分国法。中には現代にも通用する、乱世を円滑に治めるための素晴らしいものもあった。しかし、その法も制定者も時代の流れに不遇にも消えた。それは部下や庶民にとっては「はぁ?法だって?ンな、まどろっこしくて上の連中の為のモンなんて俺らの役に立つかよ!力で解決した方がマシだろうが」と言うものだったから。自力救済の条件付きの許可を制定したのに家族からも嫌われた伊達稙宗、最も優れた法を制定したのに無念としか言えない最期を遂げた今川氏が印象深い2018/11/05
HANA
65
戦国大名が定めた分国法を解説した一冊。地味な題材なのだがこれが驚くほど面白い。元々興味のある時代な上に、それぞれの分国法の紹介の上に、それらの作られた背景が説かれているからかな。紹介されている分国法はそれぞれ結城、伊達、六角、今川、武田の五者。愚痴交じりのものから完成された法典まで、読んでいると大名の置かれた立場ってやっぱり厳しいものだと再確認させられた。他にも戦後の恩賞の問題や合戦時の訴訟の事など、知らずにいた面白い知識も多数。何となく無味乾燥な法の背後から、大名の悩みのため息が聞こえてきそうであった。2018/09/08
Book & Travel
64
『ハードボイルド~』で有名な著者。本書では戦国大名、結城、伊達、六角、今川、武田の五家の分国法を取り上げる。硬派なテーマだが判り易く書かれ、法の条文とその背景から当時の社会問題や大名の悩みが浮彫りにされ面白い。家臣への愚痴のような結城、完成度が高い今川など形は様々だが、大名が領国に秩序を築こうと苦心した様子が窺える。ところが最終章で分国法はいらなかったとの結論に。コケそうになるが、滅びた五家に対し残った織田や徳川には分国法がなく、法整備より領土拡大こそが結局あらゆる問題を解決したとの見方に納得させられた。2018/10/24
もりやまたけよし
60
今川義元ってしっかりした人だっただなんて、目からウロコでした。 あとコンプライアンスが国を滅ぼすという印象を持ちました。やはり管理はごめんです。2019/02/06
Miyoshi Hirotaka
51
生類憐みの令により、自力救済、自力解決による武断政治から法の支配による文治政治へと転換。これには戦国時代からの長い取り組みがあり、その痕跡を示すものが分国法。しかし、法律といいながら愚痴が書いてあったり、不用意な引用により意味不明になったり、誤記によりパクリ元がばれたりと可愛らしい間違いがある。一方、早くに法整備を行った大名は没落。皮肉にも政治・軍事判断の足かせになったからだ。戦国時代は法整備もせず、領土拡大に邁進する大名が求められていた。作る必要もない法律を作り、人や組織を疲弊させるのは現代にも通じる。2019/05/09
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