出版社内容情報
旅の中で出会う様々な歴史の足あと。遺跡や文化財のみならず、歌、祭り、食など、生活のあらゆる面に長く育まれた〈地域の力〉が息づいている。北は津軽から南は日向まで、歴史家の練達の筆に、列島の多様な魅力が浮かびあがる。
内容説明
地方を訪ねる旅の中で出会い、見た歴史の足跡を追う。各地には遺跡や文化財をはじめ、歌や祭、食など、その地に営まれる生活の諸側面に、長く育まれてきた“地域の力”が息づいている。北は青森・津軽から南は宮崎・日向まで。実際にその地を歩きながら綴られた歴史家の練達の筆に、列島の多様な魅力が浮かびあがる。
目次
1 人(芭蕉―大津に蓄積された情報力(滋賀県大津市)
連歌師宗長―伊勢湾岸を襲った災害を越えて(三重県東部) ほか)
2 山(筑波山―山に引き寄せられた人々(茨城県筑波山麓)
立山―山は人を育て、経済を豊かにする(富山県東部) ほか)
3 食(讃岐うどん―平野と海の恵み(香川県讃岐平野)
若狭もの―流通文化の水脈を見つめる(福井県小浜市) ほか)
4 道(四国巡礼道―山野河海の活用史を構想する(徳島県東部)
山陽道―備前福岡をめぐる産業文化(岡山県東部) ほか)
著者等紹介
五味文彦[ゴミフミヒコ]
1946年山梨県に生まれる。1970年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学教授などを経て、東京大学・放送大学名誉教授。専攻は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fseigojp
22
中世史の専門家の紀行文 中央史観とは又ちがった見方がおもしろい 五味文彦 注目開始2017/11/01
skunk_c
20
中世史の大家が、日本各地について、人・山・食・道をキーワードに、その歴史とそれにかかわる人の動きを縦横無尽に語った小論集。中世だけでなく、古代から近代までを見据え、地理的な要素や他地域との繋がりを視野に入れながら、しっかりと縦軸である時間軸を通し、さらに周辺への広がり、類似地域との比較など、取り上げた地域だけに限らない、日本の歴史の立体的な断片になっている。どの地域も魅力たっぷりに描かれており、旅行好きにはたまらない。ただ、凡人が見てもこういう気づきはできないと思われるほどの博覧強記ぶり。さすがと唸った。2017/10/14
onepei
5
情景豊かな章と、土地の紹介で淡々と進む章があっておもしろい2019/08/22
いつかはビーエム
5
歴史と旅が楽しめる本。新書も大好きで色々なジャンルを読みます。この本持って旅したい‼ 旅先で知識が自分のモノになります。小生の旅スタイル?2018/12/10
広瀬研究会
5
通史ではそれほど大きくは触れられないような土地の歴史を、「旅する」というテーマで取り扱う趣向が良かった。専門用語が説明なく使われたりしていて、初心者には手ごわいなあと思いつつ、時おり挿まれる恩師との思い出や、その土地で暮らす人たちの行く末に思いを馳せる姿勢には、しみじみとした気持ちになる。日本史の教養書でありながら随筆としても楽しめて、今後もシリーズ化してくれたら嬉しいんだけどな。2017/10/15