出版社内容情報
自由主義経済における事業活動の基本ルールを決める独禁法のトレンドがわかる。各種業界の法務部・取締役必携。
内容説明
自由主義経済の事業活動を定める独禁法は近年の大改正により様変わりした。市場のグローバル化を受け整備された国際標準の競争法制の姿は?大型企業合併の審査、談合摘発などを行う公正取引委員会の役割も、法改正で導入された違反制裁金の大幅アップ、司法取引的な減免制度に関する最新の重要判例を紹介しながら解説する。
目次
序章 「独禁法の番人」公取委の仕事―私の勤務体験から
第1章 市場とルール―米国・EUの動向を見る
第2章 日本の独占禁止法―どう変わってきたのか
第3章 カルテル規制と企業結合規制の今
第4章 解釈上の課題と現行ルール
終章 これからの課題
著者等紹介
村上政博[ムラカミマサヒロ]
1949年北海道生まれ。1972年東京大学法学部卒業。弁護士、公正取引委員会、横浜国立大学教授、一橋大学教授などを経て、一橋大学名誉教授、成蹊大学客員教授。専門、経済法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヤギ郎
13
独占禁止法を中心に日本や欧米の競争法について解説している新書。新書にしては内容が盛りたくさんだが、とても勉強になる。本書前半では、競争法の理念や日本の独占禁止法の体系や公正取引委員会の仕事について説明している。続いて、後半では判例や事例をもとに競争法の解釈を検討していく。流動的な経済取引の中で判例の蓄積に大きな意味がよくわかる。日本の独占禁止法は国内企業の育成と公正で自由な市場経済の実現の間にあるように感じた。2021/11/18
Francis
10
旧版も読んでいて、今回新版が出たので読んだ。信書としてはもったいないくらい詳しく我が国の独占禁止法、いわゆる競争法について解説している。かつて日本では独占禁止法は競争法としては機能せず、消費者行政の一環として考えられていたが、今ようやく公正な市場の形成のための競争法として機能していることや、国際的な競争法の水準に合わせることをめざして改正が重ねられていることがよく理解できる。友人が公正取引委員会に勤務しているが、仕事は大変らしいけど、何だかうらやましくなった。2017/08/03
g.t
6
独占禁止法の思想に触れたくて読んだ。業務上、競争法という言葉に向き合う事がある。日本の競争法はその対象する範囲が非常に広く、時にはビジネス全般を規制されているような錯覚に陥る事がある。正しい理解のためには、根本の法律設計思想を知ることが必要と考えた次第。 水平的規制、垂直的規制という2点を軸に、違法・合法の考え方から企業の活動を規制する法律であることを理解した。理解の範囲では、私が日常的に触れる独禁法上の疑義のリスクとは、日本特有の規制である優越的地位の濫用に該当するリスクである、という事である。幅広い。2021/09/19
Haruka Fukuhara
5
勉強になりました。新書もなかなか捨てたものじゃないですね。2017/07/12
Akiro OUED
4
日本における独占禁止法が、その効力を発揮し始めたのは、課徴金減免制度の導入からですと。和を以て尊しと為す。 聖徳太子の教えは、目の前の札束の力に圧倒された。GAFA的資本集中によって世界制覇を企む米国。希少鉱物資源の輸出制限で対抗する中国。独禁法のキレイ事は、日本を滅ぼすかも。2020/07/09