内容説明
七世紀の日本列島には推古をはじめ、皇極・斉明・持統など女帝が続々と登場してくるが、同じ時代、朝鮮半島の新羅には善徳・真徳、中国の唐でも武則天という女帝が現れる。なぜ多くの女帝が東アジアから出たのか?女帝たちの鮮烈な生涯を掘り起こしながら、七世紀の東アジアはどういう時代だったのかを描きだす。
目次
第1章 推古―東アジア最初の女帝
第2章 善徳―新羅の危機を救った予言
第3章 皇極―行政手腕の冴え
第4章 真徳―錦に織り込む苦悩
第5章 斉明―飛鳥に甦る使命
第6章 間人―禁断の恋に生きた幻の女帝
第7章 倭姫―王朝交代のミッシング・リンク
第8章 持統―遠謀にして深慮あり
第9章 武則天―男性社会への挑戦
著者等紹介
入江曜子[イリエヨウコ]
1935年東京に生まれる。慶応義塾大学文学部卒業。現在、作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こぽぞう☆
19
図書館本。日本の女帝と則天武后についてはかなり読んでるつもりなので、新羅の善徳女王、真徳女王に惹かれて借りてきた。肝心のその2人については資料が少ないのかあまり詳しくなかった。一方で、日本の女帝たち、則天武后については従来の見方からはかなり離れているように思った。持統天皇の項は特にそれが甚だしく、これじゃ天皇家は万世一系ではなくなっちゃうよね?と。でも、これまで過大評価されてきた聖徳太子、中臣鎌足、天智天皇をヒトらしく縮めてみるとこうなるかも?7世紀に限られてるのがちょっと残念。2017/05/10
崩紫サロメ
17
従来「中継ぎ」と考えられていた日本や新羅の女帝、簒奪者とされてきた武則天の同時代性に着目し、男性中心の社会に対する女性の挑戦→挫折、という視点で史書を読み直すことができないか、というもの。少し前のめりなところや検証の不十分な点は感じられるが、古代の男性によって書かれた史書をジェンダーの視点から読み直していくという作業は必須だと思う。著者は作家であるが、歴史学者がこのような視点から研究していけばどのようにことが見えてくるか、楽しみである。2019/12/16
ぽっぽママ
13
遷都や陰謀などの日付に対しての具注歴の使い方というか意味することを面白く読んだ。あと和歌の解釈や誰が詠んだものかという考察も成程と思った。女帝が政治的に何をしたかということも具体的でお飾りじゃなかったということを改めて感じた。2016/06/17
みほ
10
東アジアが女帝の時代だった7世紀。系図はあるけどあまり説明が親切ではないのである程度知識を持って読まないと理解し難くつまらないかも。女性の積極的登用など先日読んだ「古代の女性官僚」にも通じるところありおもしろく読みましたが所々「この説はどの程度信憑性があるんだろう?」というところが。(新説でも良いけど典拠を示してあれば…。)間人や倭姫のように取り上げられることの少ない人にも注目している点はおもしろいので概説書として書くより歴史小説として描かれてたほうがすっきり腑に落ちるんだけどな。2016/04/29
はちめ
7
自立女性史観?で貫かれた好著。書かれた内容の全てが真実とは著者も考えてはいないだろうが、従来の古代史に再考を促すきっかけになった。おそらく学会は無視だろうけど⁉2016/06/13