内容説明
観光名所の賑わいの陰でひっそりと姿を消す町家の風景。雅な宮廷文化、豪奢な桃山文化に彩られた「古都」のイメージが流布するなか、つのるのは違和感ばかり。これが、京都なのだろうか…。一五の「道」と「場」をめぐり、本当の京都に出合う小さな旅へ。かつて都に生きた人びとの暮らしと営みに思いをはせる。
目次
第1部 都市に生きた人びと(室町と山鉾の道―町衆と図子;開化と繁華の道;清水坂の歴史と景観;キリシタンの道;鴨東開発の舞台―岡崎周辺)
第2部 京の歴史が動くとき(大礼の道―皇居から京都御苑へ;「日本国王」の道―北野と北山を歩く;災害の痕跡を歩く―鴨川流域をたどる;志士の道―高瀬川と明治維新;学都京都を歩く)
第3部 人が行きかい、物がめぐる(朝鮮通信使の道―大徳寺から耳塚へ;牛馬の道―東海道と山科;古典文学と嵐山・嵯峨野の近代;幽棲と共生の里を歩く―洛北岩倉;「京都らしさ」と宇治―世界遺産と文化的景観)
著者等紹介
小林丈広[コバヤシタケヒロ]
1961年生まれ。同志社大学文学部教授。専攻、日本近代史・地域史
高木博志[タカギヒロシ]
1959年生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専攻、日本近代史
三枝暁子[ミエダアキコ]
1973年生まれ。立命館大学文学部准教授。専攻、日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
37
今日、京都の観光言説に、舞子やもてなしの文化が重要な要素となっている(37頁)。1873年に山本覚馬が、京都博覧会で初の英文ガイドThe guide to the celebrated places & the surrounding places for the foreign visitorsでは御所、祇園、知恩院と紹介される(43頁)。2016/07/08
エドワード
24
京都は歩く街だ。道端の数多くの石碑や道標が伝える歴史。京都学という大学の講座があるとは驚いた。京都の街は地層である。平安時代以前から近代までが重なって出来ている。京都を知るためには、歴史学だけでなく、文学や地理学も不可欠である。まだまだ知らないことをたくさん教えられた。結構多くの神社や寺院が、江戸や明治以降に創られていて、平安時代からの千年の都イメージも後年に演出されたものという指摘は実に鋭い。今ある景観も時代にあわせて絶えず変わり続けている。何を捨てて何を残すのか、常に問題が山積みなのが古都なのである。2019/10/20
そうたそ
18
★★★★☆ 京都には隅から隅まで歴史が詰まっているということをつくづく認識した一冊。観光ガイド的な本には載っていないディープな京都を歩いて楽しめる一冊となっている。ただ、こうした内容である以上、各歴史については断片的な書かれ方しかしておらず、この一冊で京都を知るというには不向きであるかと思う。京都の地を知る者からすれば、更なる深い見識が得られる内容だが、あまり知らない人にとっては、ピンときにくい内容であるかもしれない。とはいえ、これ以上ないほどに京都を深められる良著だった。2020/02/16
浅香山三郎
15
2016年の本で、観光色一辺倒の京都案内のアンチテーゼとして書かれた。私も京都に住んでゐたので、土地勘があり面白く読めた。歩くルートのなかに平安京から近現代までの歴史が重層的に積み重ねられてゐるのがこの町の面白さで、とくに近代京都の形成の上に今があるといふ意識がつよく出てゐるやうに思はれる。2019/07/28
koji
13
私の中では「京都ぎらい」祭りの真最中ですが、やっぱり京都を歩いて肌で感じないとホントの京都は分かりません。という訳で、私に最もフィットした京都歩きガイドブックとして本書を携行することにします。2017/05/31
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