内容説明
花は桜―。古来より日本人はこの花を愛し、格別な想いを寄せてきた。里の桜、山の桜。豊かな日本の自然に育まれ、多種多様な姿を見せながら息づく桜は、日本人の美意識を象徴する花といえる。生き物としての基礎知識から、人間・歴史・文化とのかかわりまで。私たちの心をとらえてやまない、花の魅力のありかを伝える。
目次
第1章 桜の基礎知識(日本の桜;桜のかたち;サクラの分類)
第2章 “染井吉野”(桜といえば“染井吉野”;“染井吉野”の生い立ち;命短き“染井吉野”?;)
第3章 里の桜(人が創ったサトザクラ;多様な栽培品種;文化遺産としての栽培品種)
第4章 山の桜(桜は生きている;サクラの一生;十種のサクラの楽しみ方)
第5章 桜のこれから(温暖化と桜前線;桜の管理;植える桜の種類;新しい桜)
著者等紹介
勝木俊雄[カツキトシオ]
1967年福岡県生まれ。1992年東京大学大学院農学系研究科修士課程修了。農学博士。現在、国立研究開発法人森林総合研究所多摩森林科学園主任研究員。専門は樹木学、植物分類学、森林生態学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tomi
34
桜は世界に約100種、そのうち日本の自生種は10種(または9種)のみだという。「生き物としての桜」をテーマに、サクラの研究者からの視点で書かれている。おなじみの「染井吉野」については寿命が短いといった誤解が広まった理由や、謎に包まれていて済州島起源説も唱えられていた出自についてなど幅広く考察されている。自生種それぞれの記述も丁寧で、意外と知らない桜について学べる。2015/04/14
501
19
著者は長年桜の分類と保全を携わってきた研究者で、本書は著者の専門分野を主眼に桜について考察した内容。多くの日本人にとって桜といえば、エドヒガンや河津桜、四季桜と思い浮かべる桜はあるものの染井吉野の存在は大きい。出版社の方針なのか、本書はひとつの章が染井吉野に割り当てられ、各所に染井吉野に関する記述が多く割かれているが、著者が文中で自生の桜の姿を伝えたいとあるように、日本に咲く10種の桜を中心に多様な桜の姿が紹介され、桜への興味が広がる。研修者のためかやや学術的すぎるきらいがあるかな。2015/04/05
タカヒロ
19
生き物としての桜について書かれた本。桜といえば染井吉野しか知らなかったのでいろんな種類の桜があることが分かり、これから桜を見るのがもっと楽しみになれた。染井吉野は花見に適した栽培品種で、歴史は比較的新しく、古典などに出てくる桜はヤマザクラ。個人的にはエドヒガンが気に入った。岐阜の淡墨桜見に行きたい。2015/04/01
プクプク
13
桜について植物学からの解説。「桜の基礎知識」の章が興味深かった。今年は雨が多くお花見に出かけられなかったけれど、来年はこの本で見つけた桜に会いに行ってみたい。2015/04/17
posh
9
(再読) [部分読み] この春に和歌山で新種の桜が見つかった、というニュースがあったけど日本人に馴染みの桜も、温暖化などの環境の変化に対応しようとしてるのでしょうか。2017/05/19