出版社内容情報
日本の古く美しい文化を伝える〈千年の都〉として、今も愛される京都。しかし今の京都には、実は平安当時の建物は一つも残っていない。この都はいかにして生まれ、どのような変遷をたどり、そして「古都」として定着するに至ったのか? 平安京誕生から江戸期の終わりまでその歴史をたどり、「花の都」の実像を明らかにする。
内容説明
日本の古く美しい〈千年の都〉として、今も愛される京都。しかし今の京都の市街地に、平安時代の建物は実は何一つ残っていない。この都はいかにして生まれ、どのような変遷をたどり、そして「古都」として定着するに至ったのか?都の誕生から近代の始まりまで、その歴史をたどり、「花の都」の実像を明らかにする。
目次
第1章 平安京の誕生―はじまりの時代
第2章 「花の都」の光と影
第3章 平安京から京都へ―中世の幕開け
第4章 京と六波羅―内乱と災厄を経て
第5章 武家の都として―南北朝から室町へ
第6章 都を大改造する―信長と秀吉の京都
第7章 イメージとしての古都―江戸時代の京都
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Book & Travel
43
平安遷都から現在までの京都の通史。政権の変遷、寺社仏閣の盛衰、衛生状況の変化、飢饉・戦乱・天災等々、日本の中心としての歴史はとても読み応えがあった。古都という語感には平安京のイメージがあるが、平安時代から残る建物はなく、地図を改めて見ると今の中心からはずれていて、いかに波乱が多かったかを物語っている。また一つの場所でも歴史が何重にも積み重なっていて、その時代時代で顔が違うことが改めて分かる。駆け足の所や、逆に専門的で難しいところもあるが、著者の京都への思いが溢れていて、京都の知識が重厚になる良書だった。2017/03/17
壱萬参仟縁
30
ルビが親切に書かれているので、難読漢字もなんとか読める。構造図、地図、写真も多彩。平安京は未完の都(34頁~)。過酷労働には囚人があてられ、堀川は物資集散の重要水路。桓武天皇が炎天下で刑具つけたまま掘削従事の囚人を見、哀れんで恩赦の詔を出した。平安京の溝掃除は重要。下水道網をもたないため、生活雑排水の流路も兼ねたという(52頁~)。溝渠には排泄物も流され、穢臭(わいしゅう)有り(『続日本紀』54頁)。英仏でも19C半ばまで糞尿、汚水(56頁)だったため、京都のみではないのがせめてもの救いか。2015/01/17
どら猫さとっち
6
京都好き、または歴史ファンには本書はうってつけだろう。平安京の謎から、実存する寺院についてなどなど、京都の歴史を凝縮した一冊。京都の観光ガイドにはない、かつての京都に想いを馳せて読むのも面白い。結びの最後の一文は、かなりひやりとさせられるが、これも時代の移り変わりだろう。できれば今昔共存するような街であって欲しい。2014/11/24
わ!
4
一年ほど前、この本の著者である高橋先生を、私の属する歴史サークルで読んで講義を聞かせていただいた。 その時に先生が持って来られた本をメンバーの何人かで購入したものである。タイトル通り、京都を主役にして、古代から現代までの京都史をずらりと書かれた本である。場所によっては、現代の京都で、この歴史の面影をどのように偲ぶことができるかが書いてあって、現在の京都をうろうろする人間からすると嬉しい解説になっている。ただ、とにかく情報量が多く、章立てごとにコロコロと話題が変わるところもあるので、読み慣れるまでが大変だ!2022/08/04
アメヲトコ
4
古代から近代までの京都の通史。新書ながら叙述は幅広く、また最新の研究動向もよくフォローされていて、入門書としてとてもよい本です。個人的には、鳥羽にラブホ街ができたことで発掘が進み、かつての空間構造が明らかになったという話が、白河法皇のことを思うといろんな意味で趣深く。2015/03/02