内容説明
二〇一三年、首相の口から改憲要件緩和までが声高に叫ばれ再燃した改憲論議。なかでも重要な論点―改憲手続、憲法擁護義務、押し付け憲法論、国民の義務と自由、個人と家族、非武装平和主義、国民投票の功罪―を比較憲法の視点から丁寧に検討し、自民党改憲草案の危険性と今後の議論の在り方、日本国憲法の現代的意味を再確認する。
目次
序章 比較憲法から改憲を考える
第1章 改憲手続を比較する
第2章 「改正の限界」と憲法尊重擁護義務―九九条の意味
第3章 「押し付け」論再考―「自主憲法」とは何か
第4章 「国民は個人として尊重される」―人権規定を比較する
第5章 戦争放棄と「現実論」―平和的生存権と各国の平和条項
第6章 国民投票は万能か―国民主権原理
終章 「政治の論理」と憲法改正のゆくえ
著者等紹介
辻村みよ子[ツジムラミヨコ]
1949年東京生まれ。東北大学大学院法学研究科教授を経て、明治大学法科大学院教授。専攻は、憲法学、比較憲法、ジェンダー法学。法学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かじやん0514
7
自民党などが出している改憲論がいかにおかしいか分かるとともに、優れた比較憲法学の入門書にもなっている。日本国憲法はけっこうよくできているんだなー。#改憲 #憲法9条 #憲法96条 #国民投票 #基本的人権 #平和主義2014/01/29
void
6
【★★★★☆】比較憲法からみた改憲論。西修もセットでどうぞ。96条改正規定、憲法史から辿る「押し付け論」の正否、人権規定と家族規定、平和主義、国民投票の功罪。専門分野ということで引いてる国数も多いし、学説整理、憲法分類も丁寧。良い副読本。改憲案は、先進諸国よりの現行憲法から社会主義、発展途上国よりの文言になりますよと読み比べさせたらなんて返すのだろうか。(近著をさらったら八木秀次は身近なアジア諸国ではほら自国史観を入れてるよ、西修はそれらを区別をせず歴史を入れてる憲法沢山あるよ、でした。)2014/02/27
どら猫さとっち
5
改憲をテーマにした本書。様々な角度や視点で、日本と海外の憲法の違いが見えてくる。ここ最近憲法に揺らぎが見えはじめたが、本書を通して憲法とは何かを考える一冊である。2014/02/11
yo yoshimata
5
憲法について論じた本は数多いですが、憲法を考える際に必ず読んでおきたい一冊だと思いました。比較憲法的手法が、日本国憲法の先駆性と自民党の憲法改正案の逆行性を浮き彫りにしています。2014/01/26
リョウ
4
ここ数ヶ月はすっかりなりを潜めてしまった改憲論。しかし、時期が来ればまた大きな話題になることだろう。当時の最新の理想を掲げた日本国憲法も、70年という時を経ていく中で、諸外国の憲法との比較の中で一般的になった概念、それでも独自性を保つ概念、遅れてしまった概念が出てきている。その中で、自民党の憲法改正案は、憲法というもののあり方そのものを変えてしまう(誤解というよりは意図的なものだろう)。ただ、憲法学自体の特徴として、議論のための議論を行っている中でそれに対する説得的な反論ができているのか考える必要がある。2017/09/09
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