出版社内容情報
奈良・平安の世を襲った大地の動乱．それは，地震活動期にある現在の日本列島を彷彿させる．貞観津波，富士山噴火，東海・東南海地震，阿蘇山噴火……．相次ぐ自然の災厄に，時の天皇は何を見たか．未曾有の危機を，人びとはどう乗り越えようとしたか．地震噴火と日本人との
内容説明
奈良・平安の世を襲った大地の動乱。それは、地震活動期にある現在の日本列島を彷彿させる。貞観地震津波、富士山噴火、南海・東海地震、阿蘇山噴火…。相次ぐ自然の災厄に、時の天皇たちは何を見たか。未曽有の危機を、人びとはどう乗り越えようとしたか。地震・噴火と日本人との関わりを考える、歴史学の新しい試み。
目次
１ 大地動乱の開始―七・八世紀
２ 大地動乱の深化と桓武の遺産―九世紀前半
３ 陸奥海溝津波（貞観津波）と清和天皇
４ 神話の神々から祟り神へ―地霊の深層
終章 君が代の時代と東北アジア
著者等紹介
保立道久［ホタテミチヒサ］
１９４８年東京生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修了。専攻、歴史学。現在、東京大学史料編纂所教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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レアル
52
歴史を地震学から考えようとした斬新な試み。タイトルにある様に奈良・平安の時代に災害が起こった時、当時の天皇はどう対応したか！というもの。いろんな参考史料から歴史的に考察するものだが、まず史実を延々に述べた後に災害を組み込む描き方が冗長過ぎたし、もう少し端折って書いてくれていると読み易かったように思える。しかし内容は面白い。いろんな参考史料も興味深い＆読み応えも抜群だった。2018/01/19
遊未
12
災害から歴史を見る視点は東日本大震災以後に著作が増えたと思います。火山の噴火、地震、雷が政治に、生活に人の心にどう影響したか。それにしても、優雅そうな奈良から特に平安がこれほどまで日本列島の活動が活発だったとは。そのあとには疫病では、怨霊も生まれる筈、等納得できます。歴史、災害ばかりでなく、比較神話学に興味のある方にもお薦めの一冊です。2020/09/08
はちめ
12
三読。菅原道真が当時の官僚登用試験に通った際の論文の問題が「地震について」というのが興味深い。現代であればプレートテクトニクスなどの知識を使って科学的な論文を書くことになるが、当時は陰陽道、天譴思想、龍神、日本神話の神々、仏教思想などを総動員して体系的に説明する論文が必要とされたのだと思う。そしてこのような説明は論理的かつ科学的な説明であると受け止められたのだろう。古代史の理解においては、雷神、地震神、火山神などを実在として感じることが不可欠だと思う。☆☆☆☆★2020/08/16
おMP夫人
12
熱意をもって書かれた本ですが、惜しいという気持ちも強いです。日本史に興味のない人は手に取らないだろう本書だとは思いますが、地震学・火山学に神話も交え、歴史学の観点から過去の大災害と政治を顧みるという狙いはとても良く、必要な事であると強く感じるだけに、たくさんの人に薦めたくなる１冊なのですが、奈良・平安時代に慣れ親しんだ人でないと理解しづらいと思える点が多々あり、そういった読者層に対するフォローが少なく、やや強引なところも見られるので、読み手をかなり選ぶものになってしまっているのが本当にもったいないです。2012/09/06
壱萬弐仟縁
9
７９９年に常陸国で津波被害に遭っている（５５頁）。1420年にも同様の津波が押し寄せている。桓武天皇はこのような津波を後世に継承しなかった。残念。800年、富士山大噴火（５６頁）。地球物理学もない当時なら、パニックになったのではないか。祟りじゃ、呪いじゃ、のような感じでとらえていたのかもしれない。祟神、疫神（110頁）。長屋王の怨霊崇拝に遡及。御霊会で普及していったようだ。195頁の災害の三位一体図がある。雷電、噴火、地震。大昔から地震、津波、噴火に見舞われてきた日本人。科学的知識で対策、教訓を学びたい。2013/07/18
