岩波新書<br> 原発のコスト―エネルギー転換への視点

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岩波新書
原発のコスト―エネルギー転換への視点

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  • サイズ 新書判/ページ数 221p/高さ 17cm
  • 商品コード 9784004313427
  • NDC分類 543.5
  • Cコード C0233

出版社内容情報

原発の発電コストは他と比べて安いと言われてきたが、本当なのか。立地対策費や使用済み燃料の処分費用、それに事故時の莫大な賠償などを考えると、原子力が経済的に成り立たないのはもはや明らかだ。原発の社会的コストを考察し、節電と再生可能エネルギーの普及によって脱原発を進めることの合理性を説得的に訴える。

内容説明

他と比べて安いと言われてきた原発の発電コスト。立地対策費や使用済燃料の処分費用などを含めた本当のコストはいくらになるのか。福島第一原発事故の莫大な損害賠償を考えると、原発が経済的に成り立たないのはもはや明らかではないか。再生可能エネルギーを普及させ、脱原発を進めることの合理性をコスト論の視点から説得的に訴える。

目次

第1章 恐るべき原子力災害(福島第一原発で何が起きたのか;深刻な環境汚染;人体への影響;生活への影響)
第2章 被害補償をどのようにすすめるべきか(莫大な原子力被害;何が賠償されるのか;原子力損賠賠償の原則;原子力損害賠償支援機構法の仕組み;残された課題)
第3章 原発は安くない(原発は経済的か;発電事業に直接要するコスト;政策コスト;発電コストの計算結果;莫大なバックエンドコスト)
第4章 原子力複合体と「安全神話」(安全軽視の原子力政策;軽んじられた多重防護の思想;安全神話の中の原子力複合体)
第5章 脱原発は可能だ(脱原発が始まった;脱原発で電力供給は大丈夫か;原発を止める道筋;脱原発のコスト;再生可能エネルギーの爆発的普及は可能か)

著者等紹介

大島堅一[オオシマケンイチ]
1967年福井県生まれ。1997年一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。経済学博士。現在、立命館大学国際関係学部教授。専攻、環境経済学、環境・エネルギー政策論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mitei

307
タイトルの通り、原発のコストを意識した一冊。一度福島のような事故が起きるとコストなんて度外視しないといけないというリスクを背負って動かして最後の処理まで考えるとどうするのかな?と思う。2016/03/03

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

38
大佛次郎論壇賞ということで手に取った作品。大学生にも理解できる一般書ということで、わかりやすい本でした。原発の是非を安全性ではなく「コスト」という面で比較した点では面白い。コストは生産から廃棄までを考えるべきなのに、送発電のコストだけで原発が一番安いという嘘っぱちを分かりやすく説明しています。ただ、比較すべき火力や水力発電は同じ土俵にのせたのでしょうか?二酸化炭素の処理コストは?数千億と言われるダムの建設コストは?良い本でしたが原発反対が前提にあり、論説文としてはフェアではないなと思いました。★★★2014/05/06

まると

24
使用済み燃料の処理にかかる桁外れなコストだけを見ても、原発が安上がりだなんてことはありえない。それをわかりやすく教えてくれて目から鱗が落ちました。コスト面で割に合わないばかりか、ひとたび事故が起きれば取り返しがつかなくなるというのに、喉元過ぎれば熱さを忘れる日本の国民性にあきれてしまいます(私もその一員です)。福島の事故直後の11年前に書かれたものだけに、数字が古い。原子力行政の仕組みが変わり、原発再稼働の動きと再エネ拡大が並行する今を著者はどう見ているのだろう。数字なども更新した新版をぜひ出してほしい。2022/10/19

ちくわ

23
原発は、実際は安価ではなく高コストであるということを地道な計算で示した良書です。高コストに加えてひとたび事故が起これば甚大な被害が及ぶことを考えると原発存続は合理的ではないということは明らかです。震災から10年、原発の更新や新設は難しくなり脱原発に傾いている流れが続いてほしいと思います。(☆3)2020/12/05

ヤギ郎

19
大学の授業で予習として読むよう言われた本。官界と東電そして、東京大学が密接に関わっていることは他の本を読んで知ってはいたが、「こんなことまで原発と関係あるの!」と思うことも書かれてある。今までどおりの原発運営を続けると日本は終焉を見るだろう。政府には改革を求める。福島第一原発事故後(2011年12月)に出版された本で、少し古いと思った。読んでみると、今日はあの時とあまり変わっていないんだという印象を受けた。将来どうなるのだろう・・・2015/04/07

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