内容説明
テレビ、ラジオ、新聞、インターネット、書籍・雑誌、携帯電話―。日本人はメディアをどのように受容し、利用しているのか。実証的に検討し、メディア界の構造転換を明らかにする。「テレビ離れ」「読書離れ」は本当か?ケータイ、ネットが若者のメンタリティーに与えた影響は?日米のメディア研究の動向も紹介したメディア論の決定版。
目次
1章 日本人はメディアをどう受け入れてきたか(近代日本人の情報意識;新聞の発刊と普及 ほか)
2章 メディアの利用実態はどう変わったか―一九九五年~二〇一〇年(メディア激変の一五年;テレビ ほか)
3章 メディアの「悪影響」を考える―テレビとインターネットをめぐる研究(メディアに対する“ネオフォビア(新規恐怖)”
メディアと暴力 ほか)
4章 ネット世代のメンタリティー―ケータイ+ネットの魅力(「デジタルネイティブ」と「ネオ・デジタルネイティブ」;どのようなメンタリティーを持っているのか ほか)
終章 メディアの未来にむけて(ネットはテレビを侵蝕しているか;「時間代替」と「機能代替」 ほか)
著者等紹介
橋元良明[ハシモトヨシアキ]
1955年京都市生まれ。1978年東京大学文学部心理学科卒業。1982年東京大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院情報学環教授。専攻、コミュニケーション論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tetsu
16
★3 新聞、ラジオ、電話、テレビ、インターネットの利用に関して15年間実施している「日本人の情報行動調査」を まとめたもの。 年齢層による差異はあるものの、新聞、テレビからインターネットへのシフトの傾向は明らか。 NHKの受信料の問題もあり単身世帯ではテレビを持たない生活も今後多くなるのかも。 スマホを壁に映すプロジェクターなどが開発されればもはやPCすら要らない。 ただ、ネットでタダで取得している情報は既存メディアが収集編集したものなので、誰がコスト負担するのかが課題になるのでしょうかねぇ。2018/02/09
tetuneco
12
社交的な人はネットで社交的に楽しく、そうでない人は・・・ネットで寂しく・・・って、ネットは関係なくない?2011/10/12
かみしの
8
日本人のメディア受け入れの歴史と背景を多くのデータを元にまとめた一冊。日本におけるメディアのあれこれを学びたかったら、始めにこれを読むといいと思う。メディアの普及に伴う空間と時間感覚の変化という観点は面白い。そう考えるとニコニコ動画の時報は、案外良心的なシステムなのかもしれない。これは2011年刊行の著作だが、ネットの世界はラットイヤーで、今はLINEがある。同時・双方向的であることを“強制”するアプリの普及は、また新しい変容を、ネオ・デジタルネイティブにもたらすのではないか。活字離れの指摘は面白い。2014/01/27
yw_revolution
8
電話によって空間が再配置されたとか、テレビの登場で視覚的同時性が確保されたとか、目の前に並んでいる情報媒体には様々な特徴があって、それはライフスタイルに大きく影響することもあった。考えてみれば当たり前のことであるし、この先登場するだろう新しいメディア形態がどのように生活を変革していくのかを見極めて、いい影響と悪い影響を考える必要があると思った。 個人的に気になったのは乳児が一方通行型メディアであるテレビを見ると、言語発達が阻害されるおそれがあるということ。人と話すときの相槌などの反応が大切なんですね。2013/09/26
スズツキ
4
個人的に岩波の新赤版では久々のヒット作。巷で言われることの間違いがデータによって退けられ、新たに紡ぎだされる仮説の説得力に頷かされる。もちろん、データのとり方によって違った傾向も出るだろうが、体系的にまとめ上げたこの1冊は素直に評価したい。2017/02/18