岩波新書<br> 子どもへの性的虐待

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岩波新書
子どもへの性的虐待

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  • サイズ 新書判/ページ数 224p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004311553
  • NDC分類 367.9
  • Cコード C0236

内容説明

子どもをめぐる悲惨な事件の報道が跡を絶たない。いったい、この種の事件の背景に何があるのか。本書では、実態を把握し、抱かれがちな誤解を解き、なぜ適切な介入が困難なのか、解決のためにどうすればいいのかを考察していく。制度改革への緊急提言をも盛り込みつつ、あらゆるいのちに力強いエールを送る「心の救急箱」。

目次

第1章 性的虐待の基礎知識
第2章 性的虐待の要因
第3章 「小児性愛」という欺瞞
第4章 子どもによる性的加害
第5章 男子への性的虐待
第6章 性的虐待対応の六つの困難性
第7章 子どもの話を聴く
第8章 制度改革への提言
第9章 発見と隠蔽の歴史は繰り返される―「女性の人権」から「蘇った記憶論争」まで
第10章 虐待を超える力―あるサバイバーの闘い

著者等紹介

森田ゆり[モリタユリ]
早稲田大学卒業、Graduate Theological Union大学院卒業。1981年より、アメリカと日本で、子ども・女性への暴力防止専門職の養成に携わる。その後7年間、カリフォルニア大学主任研究員として、多様性、人種差別、性差別など人権問題の研修プログラムの開発と大学教職員への研修指導に当たる。日本にCAP(子どもへの暴力防止)プログラムを紹介。現在は、エンパワメント・センターを主宰し、行政、企業、民間の依頼で、多様性、人権問題、虐待防止などをテーマに日本全国で研修活動をする。「MY TREEペアレンツ・プログラム」(虐待する親の回復支援)を開発し、実践者を養成している。1988年に朝日ジャーナル・ノンフィクション大賞を受賞、1998年に産経児童出版文化賞を受賞、2005年に第57回保健文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しいたけ

75
重くて重くて、読むのに時間を費やした。付箋だらけで、どこに触れようか真剣に悩む。まず呼び名のこと。「小児性愛者」には隠微でタブーな嗜好のニュアンスがある。しかしこれは「暴力」であり「性的虐待」であることを断じている。「愛」が入ることで混乱し苦しみ続ける被害者がいる。30代後半になってから性被害の記憶の蓋が開き、壮絶な10年を過ごす男性の話が衝撃だった。苦しみ、引きこもり、手を差し出され、手を差し出す。その歳月を幸福に感じることすらあるという、死ぬ思いで手にした誇り。人の崇高さを思わずにはいられない。2016/08/06

12
つらい描写もあるけど簡潔で力強い文章なので安心して読めた。性的虐待の基礎知識、その要因、子どもによる性的加害への対処など、読んで良かったと思える内容がギュッとコンパクトに詰まってる。玄野武人さんの寄稿文は本当に感動した。2022/08/18

りょう(読書量低下中)

11
知人からいただいた本。これを読むと、いかに多くの性的虐待が昔から見過ごされていたのだろうかと考えてしまう。社会が蓋をしてしまった子どもの被害。第9章最後の文面が響く。「性的虐待の被害者の声を沈黙の闇の中に押しやろうとする加害者とその傍観者たち。この傍観者たちが力の強い者の側に身を寄せることを止め、被害者の側に立たない限り、性的虐待は時代を超えて隠蔽され続けるだろう。」悲しいかなこういった問題に関心を持たない大半の人は加害者側に身を寄せてしまいがちなのかも知れない。2014/03/22

めん

9
RIFCR(リフカー)研修を受講予定のため、事前学習として読了。私は、加害者に対し「その嗜好を内的に抑止できないなら、死んじまえ」と専門職ならぬ感情を持つ。ただ、本書から系統的な理解が進み、多少はゆとりを持って対応できそうだ。/読メで、伝えたいことは、被虐待児の自然な心理反応「性的虐待順応症候群」の動機の一つが、自分が悪かったと思い込んでいる罪悪感からであることと、被虐待児は事実関係が矛盾している話をすることがよくあること。これを知っていれば、「子どもの話は、信用できないな」との思いが減らせるはず。図書館2016/02/17

ジュリアンヌ

8
児童相談所の職員だけでなく、教師、医者、など子どもと関わる人は読むべき性的虐待についてのテキストだと思う。性的虐待の被虐待児が嘘をついてると思われてしまうなど誤解されてしまうのは、性的虐待の認知度が低いからだ、と感じた。性的虐待の被害者が利用できるワンストップサービスなど日本は整備を進めるべきだと感じた。2016/02/23

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