岩波新書
中国残留邦人―置き去られた六十余年

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  • サイズ 新書判/ページ数 256p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004311195
  • NDC分類 369.37
  • Cコード C0221

内容説明

“国策”で送り出され、敗戦により中国に置き去りにされた人々。そんな「中国残留婦人・残留孤児」たちが、なぜようやく帰国できた祖国を相手に裁判を起こしたのか。残された課題は何か。果たして個人にとって国家とは何なのか。『終わりなき旅』から二十余年、「国家の怠慢」の全貌とそれに翻弄され続けてきた人々の姿を描き出す。

目次

第1章 「満蒙開拓」と関東軍
第2章 置き去られた人たち
第3章 戦後引揚げの遅延
第4章 帰国への遠い道程
第5章 幻滅の天国に帰って
第6章 国家賠償請求に向けて

著者等紹介

井出孫六[イデマゴロク]
1931年長野県南佐久に生まれる。1955年東京大学文学部仏文科卒業。中央公論社勤務を経て、『秩父困民党群像』で作家としてデビュー。1975年、『アトラス伝説』で第72回直木賞受賞。1986年、『終わりなき旅―「中国残留孤児」の歴史と現在』で第13回大佛次郎賞受賞。日本文芸家協会会員、日本ペンクラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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モリータ

10
◆2008年刊。著者(1931-2020)は長野県南佐久出身の小説家・ルポライター。◆一部1986年刊の『終わりなき旅』の記述と重複しているが、90年代の中国残留邦人の帰国のピークと、2000年以降の中国「残留孤児」国家賠償請求訴訟の推移を踏まえて書かれたもの。◆著者の意見や推測も交えた記述も多いが、戦前の中国への移民の奨励の強引さと、戦後の帰国のための調査・支援の乏しさは、無責任な政策としての「棄民」としか言いようがないように思える。神戸地裁判決(巻末記載、以下引用)の直接な批判の通りではないか。2023/05/03

wei xian tiang

2
「残留孤児」という語が自動的に憐憫を誘う一方「残留婦人」に対してしばしば公式に「国際結婚」という言葉が使われる。これ程その華やかな語感が実態とそぐわない語用はない。甚だしくは人身売買に近く、よくて口減らし、もしくは身の安全を求めての窮余の行動であり、自由意思による選択などというものでは到底ない。彼女らの辛苦に思いを致すとともに、状況は同じではないが、やはり人身取引的結婚を余儀無くされる脱北者女性が現在進行形でいることも忘れまい。2014/08/06

keepfine

1
残留邦人のその扱いは読んでいてしんどくなる。2006年に勝訴した国家賠償責任訴訟の要点は、(1)残留孤児を生んだ政策(関東軍の侵略、「百万戸五百二万人」開拓計画、敗戦時日本人の現地定住策)、(2)敗戦後の引揚げ残留邦人の存在を放置し、また岸政権の反共政策により引揚げが断絶、(3)未帰還者特別措置法・戦時死亡宣告制度の導入で多数の残留邦人を認識しながら放置した事実、(4)日中国交回復後も残留邦人の帰国に総合的対策・速やかな帰国支援策をとらず、(5)帰国後の自立支援・定住支援に適切な措置を欠いたこと。 2017/08/07

円花

1
困窮から満蒙開拓へと追い立てられ、国家に利用され、見捨てられてしまった人々。中国残留邦人たちの辿った人生はあまりに悲惨で目を背けたくなる部分もあったが、それゆえに自らの責任を直視しようとしない政府に怒りを覚えた。「個人にとって国家とは何なのか?」という問題は現在の政府にも投げかけられるべき問いだと感じた。2012/02/20

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