内容説明
空から飛来する猿、牛腸を喰らう黒鼠。こうした奇怪なイメージに満ちた予言の書は“未来記”と呼ばれ、とりわけ中世に数多く出現して、人々の心をとらえて離さなかった。その一つ『野馬台師』と、さらに聖徳太子の名を冠した一群の“未来記”を読み解き、それらが実は「もう一つの歴史叙述」にほかならないことを明らかにする。
目次
序 未来記という名の予言書
1 去りゆく神仏、談合する神仏
2 発掘される未来記―捏造と発見のドラマ
3 未来から歴史を読む
4 未来記に憑かれた人々
5 生きている未来記
著者等紹介
小峯和明[コミネカズアキ]
1947年静岡県生まれ。1977年早稲田大学大学院博士課程修了。専攻は日本文学。現在、立教大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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maqiso
3
『野馬台史』と『聖徳太子未来記』は古代の予言として中世に盛んに利用された。遣唐使や太子といった権威が書いたとされる難解な文章が、様々に解釈され物語が付与されて普及した。近世になると一気にパロディが増えるの面白い。2020/01/22
かりんとー
3
あまり面白くない。2017/06/19
非実在の構想
3
こういった「偽書」研究が盛んになることを希望する。2015/10/26
takao
1
予言書のかたちをとった歴史叙述2022/06/28
おらひらお
1
2007年初版。偽書も歴史の一部になることがわかりました。中世に多く近世に少ないことも指摘されています。なかなか面白い一冊でした。2019/08/27