内容説明
黒船来航から、明治維新へ―激しく揺れ動いた幕末・維新とはどういう時代だったのか。東アジア世界に視点をすえ、開国から西南戦争までを最新の研究成果をとりいれて描く新しい通史。従来から「屈服」したと言われてきた幕末の外交を再評価し、それが成熟した伝統社会に基づくものであることを明らかにする。維新史を書き直す意欲作。
目次
第1章 江戸湾の外交(黒船来航;開国への道;二つの開国論)
第2章 尊攘・討幕の時代(浮上する孝明天皇;薩長の改革運動;尊王攘夷と京都)
第3章 開港と日本社会(開港と幕末の民衆;国際社会の中へ;攘夷と開国)
第4章 近代国家の誕生(王政復古と「有司」専制;戊辰戦争;幕末維新期の民衆;近代国家の創出;版籍奉還と廃藩置県)
第5章 「脱アジア」への道(急進的な改革;東北アジアの中で;東アジア侵略の第一段階;地租改正と西南戦争)
著者等紹介
井上勝生[イノウエカツオ]
1945年岐阜県に生まれる。1967年京都大学文学部卒業。専攻は幕末・維新史。北海道大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
77
岩波新書愛好会】幕末と、第二次世界大戦は、日本の方向変換の2つの事態。 歴史書に明らかにされていないことは、まだまだ沢山あるかもしれない。 体制の変化は、 牛鍋のような食生活や、 洋装などの衣類や、 住宅になで変化を齎した。 このような劇的な変化を受け入れる素地がどこにあったのだろう。 変化とともに、その受け入れる容量は計り知れないのだろうか。2013/06/23
翔亀
58
日本の近代国家への発展としてすでに語り尽くされた、と思い込んでいた幕末維新期の通史に、こんな新しい見方があったんだと興奮して一気読みした。固陋な幕府のせいで列強により植民地化されそうになった日本の危機を救い近代化を進めた薩長という、大河ドラマなどで志士・龍馬等の活躍が焼き付けられている構図が、逆転させられる。曰く幕府は列強に対し当時の国際情勢を熟知し国際法に則り外交手腕を発揮したのであって、薩長はありもしなかった列強の侵略の危機を煽って討幕の手段とした。曰く明治政府の文明開化はこれまでの地域の共同体を破↓2016/10/13
yamahiko
35
強迫観念的に語られる外患ということが、後日、為政者により作られたストーリーであったこと。維新が用意周到に仕組まれたクーデターに他ならないこと等々、文書から精緻に読みとかれた新たな歴史観はとてもスリリングでした。2017/01/03
しんすけ
20
明治維新なんて必要なかったのでないか。初読の際は明治維新に関する疑問だけにを感じていたが、今回はそれを強く感じる。 行政に限れば江戸幕府の能力はかなりのもので、ペリーに対しても理を持って強硬に対応している。無いのは軍事力だけだった。それがためにハリスとの間に不平等条約を結ぶが、決して日本を売るようなことはしていない。 その後、各藩の志士たちが討幕に立ち上がるが、その主因は攘夷(反異国・反開国)にあった。 しかし世の趨勢は攘夷など相手にされないことを志士たちも知る。2020/12/13
り こ む ん
18
挫折…イロイロ購入してしまい、今はそちらのが読みたい気分で、読む気が失せてしまった…後々にまた読みたくなるまで…封印。2013/05/13
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