内容説明
道徳的にみて「善い」「悪い」という判断には、客観的な根拠はあるのか。「赤い」「青い」などの知覚的判断や、「酸性」「アルカリ性」などの科学的判断とはどう違うのか。その基準となる「道徳原理」は、どのようにありうるか。ソクラテス以来の大問題を、最新の分析哲学の手法を用いて根底から論じ、倫理学の基本を解き明かす。
目次
第1章 道徳判断とは
第2章 「善し悪しは、その人しだい」とは?
第3章 道徳判断の客観性
第4章 行為・人柄の評価と実践
第5章 美徳と悪徳―呻きの沈殿と、共感
第6章 諸々の徳性と善悪
第7章 道徳原理
終わりに いい人生と、よく生きること
著者等紹介
大庭健[オオバタケシ]
1946年埼玉県生まれ。1978年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専修大学教授。専攻、倫理学、分析哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちーさん
6
善悪の判断は難しい。人や国家、宗教によって違いがあるから。絶対的な善はないかもしれないが、悪には定義があった。「人を痛めつけること」。これは納得。副題に「倫理学への招待」となっていたので説明が回りくどい。だが私たちはどのようにして物事の善悪を計っているのか、どのように映っているのかがわかる。ただ私の頭が足りなかったのだろうか、理解するには時間がかかりそう。2018/02/03
teafool
3
「入門」というよりは「入門以前」「きっかけづくり」と言ったところか。その意味で、題名の「招待」という言葉のセンスが光る。最近この分野(哲学や倫理学)の本を少しずつ読んでいるものの、科学書や雑学本とくらべてまだまだ読みなれていないので、理解度は微妙なところ。1度読んで全体を把握した上で2回目を読むとよいかな?気になった部分もあるのだが、私の勘違いかもしれないので、後日もう一度読んでまた気になるようなら、そのときにコメントに書こう。要再読。2011/07/16
どらんかー
2
入門書であるらしいが、よくわからなかったが人は様々な考えがあるというのはわかった気がする。2018/06/24
やんま
2
入門書としては決しておすすめしない。 前半は主にニーチェや投影主義への批判で構成されている。その2つを予め知っておかなければ理解できない、という訳でもないが、面くらいはするだろう。 個人的には、意図してかせずかは知らないが、小賢しい構成だと感じた。初心者を対象とした本で、まず第一に「自分が勝つ試合を見せる」というのは、自分の論を強める手段として有効ではあろうが不愉快だ。 タイトルと袖の部分で惹かれて読むならば、後半(特に6、7章)だけで十分だろう。2018/02/20
nori
2
物事の背景によって善と悪は影響してくる。それを支えているのが倫理感、文脈の説明がかなり専門的な感があった。2012/12/09