内容説明
日本の植民地支配から解放されて六〇年。韓国の歩みは分断、戦争、独裁、軍事政権、民主化運動、そして経済破綻など日本では想像を絶するような波乱に満ちている。三〇年余りの歳月を隔てて起こった二つの悲劇―済州島四・三事件と光州事件を軸に、ダイナミックに描きだす激動の現代史。
目次
序章 朝鮮史における中心と周縁(韓国の“地域葛藤”;朝鮮王朝時代の中心と辺境 ほか)
第1章 傷ついた“解放”(人民委員会と米軍政;一〇月人民抗争 ほか)
第2章 軍事政権の時代と光州事件(四・一九学生革命;朴正煕とその時代 ほか)
第3章 分断を超えて―民主化と南北和解(六月民主抗争;地域主義の時代 ほか)
終章 過去へ、未来へ(過去への眼差し―周縁の復権;e‐politicsは未来を切り開くか)
著者等紹介
文京洙[ムンギョンス]
1950年東京に生まれる。1980年法政大学大学院社会学研究科修士課程修了。立命館大学国際関係学部教授。専攻は政治学、韓国現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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樋口佳之
24
1987を観た勢いで積ん読解消。/三八六世代(三〇代、八〇年代大学入学、六〇年代生まれの世代)/苛烈な事件の連続の中で民主主義の芯を守り育てた歴史を読み取れる内容でした。2018/09/11
壱萬参仟縁
14
朝鮮半島が8つに分かれる、朝鮮八道(10頁)。知らなかった。国の隆盛を示すシンボルとのこと。ハンナ・アーレントは、自発的な権力組織を「革命から生まれた唯一の新しい形態」(36頁)とした。ヨン様を知っていても、全く韓国の歴史には疎いことを反省する。金泳三は、「政府は企業家」、「公務員はセールスマン」といい、新自由主義に毒されている(184頁)。身内資本主義とも(186頁)。終章は、市民社会論。互いに異なる立場や見解。多様な集団に個人による、討議や対話あってのこと。死民(234頁)では困る。民主主義の内実。2013/08/03
MAT-TUN
11
複数回読む価値がある。おそらく1945年の終戦後、1948〜1953にかけての済州島の4・3事件や1980の光州事件など、韓国国内でこれほどの犠牲者を出した事件があったことを知る日本人はほとんどいないのではないか?分断・戦争・独裁・軍事政権・民主化運動・経済破綻など、およそ戦後日本では考えられないをくぐり抜けて苦難の歴史を歩んだ韓国を描いている。著者の主張に偏狭な民族主義やイデオロギーはほとんど感じられない。著者の別の著作も読みたい。2013/08/21
ロッキー
8
第二次世界大戦以降の韓国史について書かれている本。自分は大学の授業の参考文献として挙げられていたので読みました。よって、授業の復習となる部分があり読みやすかったです。しかし、ただただ資料を読んでいる感じなので、その部分は辛かったです。2013/12/06
スミノフ
7
戦後の韓国の歴史を、コンパクトに学べる本。軍事政権というのは私にはなかなか想像つかない世界でしたが、理解が深まりました。2006/03/04
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