出版社内容情報
効率と競争の追求によって不況を脱しようとする日本社会.だが,暮らしの不安はますます募るばかりだ.子どもの世界も閉塞をきわめている.大好評の前著『豊かさとは何か』から14年,あらためて真の豊かさへの道をさぐる.
内容説明
効率と競争の追求によって泥沼の不況から抜け出そうとする日本社会。だが、リストラ、失業、長時間労働、年金破綻など、暮らしの不安は暮るばかりだ。子どもの世界も閉塞をきわめている。著者のNGO活動の経験をふまえて、真に豊かな社会をもたらす互助の関係性をいかにして作るかを考える。前著『豊かさとは何か』の続篇。
目次
第1章 切り裂かれる労働と生活の世界
第2章 不安な社会に生きる子ども達
第3章 なぜ助け合うのか
第4章 NGOの活動と若者達
第5章 支えあう人間の歴史と理論
希望を拓く―終章に代えて
著者等紹介
暉峻淑子[テルオカイツコ]
1928年、大阪府に生まれる。1963年、法政大学大学院博士課程修了。専攻、生活経済学。現在、埼玉大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
149
経済学者の単なる評論かと思いながら読み進んだ。ユーゴスラビアの難民や、ユーゴスラビアの子供達との交流の記事は、具体的で、行動的で、思いがこもっていて分かり易かった。国際社会で、豊かであるということは、ご近所さんとも、遠方の方とも、何か生活の中での繋がりがあることだと分かる。経済学者などの諸説も、さりげなくちりばめてあり、経済学部の学生にもお勧め。2014/10/01
なかしー
32
うーん…あんまりきちんと読めてなかったのかな。 欧州やり方について日本よりかなり先進的で今後の日本にも起こりうる事だから取り入れた方が良いってのは分かるんだけど… 右へ習えで良いのかな?よく分からない。2019/04/16
黒頭巾ちゃん
18
10年以上前に書かれたものたが、色褪せない内容(^^)価値観を競争から助け合う「互助と互恵」に変えるメリットを述べています。日本の競争社会にいる会社員の父を息子は「幸せではない。死んじゃう」と。競争社会からドロップアウトした人への再起の無さ。競争することにより、人を妬んだり卑下してしまう心理ができてしまうこと等(いじめ、イスラム国)と競争のデメリットもあげています。経済価値ではなく、助け合う行為人間の価値は「心の壁をなくし、心を触れあわせ、人同士が連帯して生きる意味を与える」こと!2015/11/21
kubottar
14
読んでいると気が滅入る。今、私達が住んでいる地球は地獄かもしれないと。それは、人間を突き動かす一つの流れ、所謂“生産”することが人間の本能ならば、いかなる犠牲を払ってもいいという流れを止める抑止力を育てることが大事だ。2014/03/13
kenitirokikuti
10
図書館にて。1989年刊行の同著者の『豊かさとは何か』 (岩波新書 新赤版 85)に続いて、2003年刊行の続編にあたる本書を読んだ。私のオールド・リベラリストらへの幻滅が深まっているので、前巻同様に不愉快になった。〈「楽しい子ども時代」と表現するのにふさわしい大多数のドイツの子ども達の生活を知っている私は〉という憂い方をする人間を信頼できないよ。戦前生まれの戦後民主主義シチズンシップ派にはほんとに現代日本をそう感じてる人が多そうなんだけども。2024/11/23