出版社内容情報
ゲルマン世界から,2度の大戦,冷戦後の統一まで,1講ずつ要点を明確にして語られる,斬新な通史.中世的世界,大学・官僚と近代化など,重要なテーマも掘り下げながら,つねに「ヨーロッパの中のドイツ」という視点から描く.
内容説明
ゲルマン世界、神聖ローマ帝国、宗教改革、絶対主義、二回の世界大戦…二千数百年の激動の歩みを、一講ずつ、要点を明確にして、通史的に叙述。中世的世界、大学や官僚と近代化の役割など重要なテーマに着目しつつ、つねに「ヨーロッパの中のドイツ」という視点から描き、冷戦後の統一ドイツの位置にも新たな光を当てる。
目次
第1講 ローマ・ゲルマンの世界からフランク帝国へ
第2講 神聖ローマ帝国とヨーロッパ
第3講 カール四世と中世後期のドイツ
第4講 宗教改革時代のドイツとヨーロッパ
第5講 絶対主義の歴史的役割
第6講 ドイツ統一への道
第7講 ドイツ帝国の光と影
第8講 第一次世界大戦とワイマル共和国
第9講 ナチス・ドイツと第二次世界大戦
第10講 分割ドイツから統一ドイツへ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
71
岩波新書の各国史10構シリーズ、イギリス・フランスに続く3冊目。初心者でも理解可能でかつ、世界史マニアも納得できるような興味深い記述で。歴史学新書のお手本のような一冊。2021/11/03
翔亀
52
ゲーテの自伝「詩と真実」を読み始めたらドイツ史の固有名詞が頻出するものだから、確認のため手元にあった本書を開いてるうちに、つい夢中になって通読してしまった。見通しが良く、教科書的でない知見が多く披露され、なるほどと感心した通史だった。ドイツ近代史(ゲーテ時代!)が専門の著者だが、確固たるドイツ史観があるためだろう。ドイツ史と言えば、ナチスを何故産んだのかという問いと切り離せない。これを考え始めると泥沼化し絶望感にかられるので避けてしまうのが私の常だが、本書ではこの問いにもきっちり応えている。↓2020/10/18
ホークス
47
2003年刊。読メで知った。ややこしいドイツ史の要点を説明(それでも複雑)。ローマ帝国後の群雄割拠の中で始まった皇帝と教会(教皇)の関係は、日本の将軍と天皇に似ている。教会を使っても離合集散はずっと続き、まるで南北朝か応仁の乱。英仏の王権が強くなるとドイツは教皇のメインバンクと化し、宗教改革の震源地になった。改革は様々な争いとつながり、ドイツ諸侯も欧州全体も二分する。中央集権をドイツでついに実現したのはヒトラーだったという歴史の恐ろしさ。著者はドイツこそ欧州の縮図だと言う。確かに興味深い話ばかりだった。2022/01/31
skunk_c
46
イギリスが近代世界史のメインアクトであったのに対し、ヨーロッパという地域のコアはドイツで、そこに領邦国家群というものが成立・維持された事情がかなり丁寧に書かれている。そしてこれは現代のEUに通じることについて、本書ではBrexitより10年以上前に出されたものであるにもかかわらず、スコットランドの動きなどにも言及されている。ドイツ史としてはコンパクトで分かりやすいが、『イギリス史10講』に比べ、文化的な要素が顔を出さないため、ドイツの「固さ」がより前に出た印象。次は『フランス史10講』を読もう。2019/05/29
著者の生き様を学ぶ庵さん
39
大学以降、久々に世界史の学習。今回はドイツ史。10講でドイツ統一の問題点まで通史をカバーでき、お得感あり。フランス史・イギリス史もあるらしい。ウイーン体制に秘められたオーストリア・メッテルニヒの腹のうちなど、面白く読みました。2016/10/30