出版社内容情報
生体肝移植は残酷な治療手段である.移植手術自体の高いリスク,臓器提供者のリスク,患者・家族の切迫した決断.明暗は常に分かれる.臓器移植を20年追いつづけた著者が描く,宿命的な困難と闘う人々のドラマ.
内容説明
脳死移植の法整備問題もあり、日本で独自の発展をみた生体肝移植。移植手術のリスク、健康な生体にメスを入れるリスクを超えて、患者・家族は生きることに賭ける。目前の命を救うために、医療チームは宿命的な困難に挑み、技術を進展させてきた。最先端医療の局面で展開される患者・家族と医師・スタッフの緊迫した熱いドラマ。
目次
第1章 手術場
第2章 十二年目の春
第3章 外科医
第4章 小児病棟の日
第5章 細き道を
第6章 新領域へ
第7章 私のことなんだ…
著者等紹介
後藤正治[ゴトウマサハル]
1946年京都市に生まれる。1972年京都大学農学部卒業。ノンフィクション作家。『遠いリング』(岩波現代文庫)で講談社ノンフィクション賞、『リターンマッチ』(文春文庫)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
C-biscuit
11
先輩にもらう。古い本のため、現在の生体肝移植がどのようなものかはわからないが、この本は、京都大学のチームの挑戦を中心に著者が20年の歳月をかけて取材した内容が書かれている。さまざまなケースが紹介されており、残念な結果になった事例もあった。手術の生々しい様子は、読み飛ばしたくもなる。親子間移植では、親が勇気を振り絞って子を救うのであるが、本当の心境は親自身が子供の辛そうな様子に耐えられなく、それから自分自身が逃げるために選択したのかも…。というものであり、心に残った。平凡な日常の価値と人生の意義を考えたい。2018/06/05
パズル
8
生体肝移植の歴史とエピソードが書かれています。生体肝移植を切り開いたのは日本だそうですが、その歴史には目を見張るものがあります。病気に苦しむ患者や家族に、何度もこらえきれずに涙を流してしまいました。トイレにも行かず36時間も手術し続ける田中医師に、思わず声が出るほど驚きました。可能性に賭け、挑戦することに勇気をもらいました。2016/05/10
Alice Narumi
2
家族愛も単純じゃないな2012/04/24