出版社内容情報
「日本や韓国の若者たちに,日本が過去にやったことを知ってほしい」――日本政府の謝罪と補償を求めて提訴した韓国人元従軍慰安婦の一人はこう語った.軍慰安所はいつ,どこにつくられたのか.設置目的は何か.また,慰安婦たちの状況はどうだったのか.関係文書を丹念に収集・分析し,ヒアリングをあわせて全体像を描き出す.
内容説明
「日本が過去にやったことを、日本や韓国の若者に知ってほしい」―日本政府の謝罪と補償を求めて提訴した韓国人元従軍慰安婦の一人はこう語った。軍慰安所はいつどこにつくられ、日本軍・日本政府はどのように関与したのか。また実態はどうであったか。関係公文書を丹念に収集・分析した著者が、回想や聞書をあわせて、全体像を描き出す。
目次
1 設置の経過と実態―第一次上海事変から日中戦争期まで
2 東南アジア・太平洋地域への拡大―アジア太平洋戦争期
3 女性たちはどのように徴集されたか―慰安婦たちの証言と軍人の回想
4 慰安婦たちが強いられた生活
5 国際法違反と戦犯裁判
6 敗戦後の状況
著者等紹介
吉見義明[ヨシミヨシアキ]
1946年山口県に生まれる。1970年東京大学文学部卒業。1972年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専攻は日本近現代史。現在、中央大学商学部教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
39
従軍慰安婦問題について、この本に書かれていない問題点がある。 それは、今やこの問題が政治利用されていることである。 ゆえに、解決の糸口すら見えない状況である。 さて、帝国主義の当時、誰が政府(つまり軍)に異論を唱えることができたであろう。 「お国のため」という便利な言葉。 史上最悪の言葉だ。 愚かなる行為は20世紀で終わりにしてほしいと切に思う。 2016/06/09
ophiuchi
17
全くおぞましい話で、松井大阪市長や河村名古屋市長あたりが、日本軍の関与がなかったことにしたい訳が分かった。2019/09/02
無識者
17
1995年なのでかなり初期の本。もう少し総督府の果たした役割が知りたいので、彼の最近出した本を読もうと思う。この問題は世代によってかなり認識の差があると思う。例えば本来であればこの問題は戦時の性暴力があったことは前提であり、その上でどれだけ日本政府が関与したのかという点にあるが、私の世代だと性暴力があるのかないのかの議論だと思っている人が多い。近年でも「強制連行」についての話題がなぜか「従軍慰安婦」そのものがあるのか?みたいに取り違えられていた。何を議論してるか明確にしてメディアは伝えるべきだろう。2018/01/31
林 一歩
15
右傾化促進月間中。2013/05/19
coolflat
13
従軍慰安婦問題の本質とは何か。第一に、軍隊が女性を継続的に拘束し、輪姦するという、女性に対する暴力の組織化であり、女性に対する重大な人権侵害であった。第二に、人種差別・民族差別であった。日本人慰安婦は概ね成年の売春婦に限られていたのに対し、他のアジア人の慰安婦の大多数は未成年者であるか、成年であっても売春婦ではなかった。第三に、経済的階層差別であった。慰安婦として徴集された女性達の多くは、いずれも経済的に貧しく、学校教育を満足に受けていない女性達であった。第四に、国際法違反行為であり、戦争犯罪であった。2014/08/06
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