岩波新書
漱石を書く

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  • サイズ 新書判/ページ数 215p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004303152
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0293

出版社内容情報

近代文学の金字塔・夏目漱石――その作品を,気鋭の現代作家はどう読み,創作にどう応用するのか.作品を丹念に解読し,明治の精神の意味を探り,登場人物たちの関係性を解明する.作家と作品の距離を考えるために,ひとりの書き手として「写生文」の方法を分析してゆく.漱石を書く――この試みは現代文学への大胆な挑戦でもある.

内容説明

夏目漱石の作品を、気鋭の現代作家はどう読み、創作にどう応用するのか。「彼岸過迄」「こころ」「明暗」などの作品を丹念に解読しながら、作家と語り手に注目し、登場人物たちの関係性を解明する。また作家と作品の距離を考えるために、書き手として「写生文」の方法を分析してゆく。漱石を読み、漱石を書く―。現代文学への大胆な挑戦。

目次

1 漱石をどう書くか
2 漱石を書く(『吾輩は猫である』;『漾虚集』;『坊っちゃん』;『草枕』『虞美人草』;『坑夫』;『夢十夜』;『三四郎』;『それから』;『門』;『彼岸過迄』;『行人』;『こころ』;『道草』;『明暗』)
3 漱石の方法

著者等紹介

島田雅彦[シマダマサヒコ]
1961年東京に生まれる。1984年東京外国語大学ロシア語学科卒業。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ころこ

32
ある時まで全作品を読んでいた著者の文章を久しぶりに読みました。著者の若い頃の小説の特徴は、模倣による継ぎはぎだらけの不格好さと未成熟さにあります。それこそが小説が持っているジャンル本来の特徴であるという小説批判になっており、近代批判にもなっていました。老成するとずっとは続けられない手法なため、小説の読解という模倣小説家ならではの強みを使った路線変更がこの当時、既に顔をのぞかせています。かなり読み易く、率直、丁寧で、要するに毒気が無いことが本書の評価であると共に、路線変更後の著者に対する批判でもあります。2020/04/17

ももたろう

16
漱石の作品を解剖していた。漱石の心理分析が如何に凄いのかとか、夢十夜や坑夫など読んだばかりの作品の評論について、面白く読んだ。一番興味深かったのは、本居宣長と漱石の比較。2016/03/28

袖崎いたる

12
漱石について書くことは小説を書くことへの方法論について書くことだという見解から、漱石の文体についてを作品を論評しつつ検討する本。いわく漢文学と英文学とに相対してた漱石は、いわゆる近代小説の三人称客観描写をする語り手を否定していて、常にそれとは別様の「小説以外のもの」を描くことに執着していたのだとのこと。この方法論への執着はひとつの実存批判の哲学ともいえる。生活上の<想像力=認識力>の向上に文学が寄与するものだとすれば、「日常の言語で書かれた独自の文学論」である小説という装置は解読格子の創造でもあるだろう。2016/11/24

悠々人

5
漱石に限らず、言語の三角関係の直中にいた明治の作家がいる。 (三角関係とは日本語と漢文と第三の言語、漱石は英語) 二葉亭四迷はロシア語と森鷗外はドイツ語と。しかしながら、この二人は 漱石の『文学論』に当たるようなものは書かなかった。 このことだけでも漱石は素晴らしいですね。2014/09/06

kankoto

2
未読本の島から引っ張り出してきて読んだ。なんと20年近く前に買った本なのかあ… 面白かった。作品について書かれた物を読んで作品自体を読まないで満足してしまうのでこれを期に読んだものも読んでないものも漱石を読もうと思った。そうしてからまた読みなおしたい。2012/04/10

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