出版社内容情報
端午の節句を彩る粽(ちまき)の緑の奥深さ――.四季折々に私たちの目を楽しませてくれる和菓子は,その繊細な味覚とともに日本人の生活に深く結びついている.四五○年前より御所や茶人に餅と菓子をおさめてきた川端家.その当主が,和菓子文化の源流である御所の食と茶の湯,菓子作りの秘話,そして京の歳時記と京都人気質を語る.
内容説明
端午の節句を彩る粽(ちまき)の緑の奥深さ―。四季折々に私たちの目を楽しませてくれる和菓子は、その繊細な味覚とともに日本人の生活に深く結びついている。450年前より御所や茶人に餅と菓子をおさめてきた川端家。その現当主が、和菓子文化の源流である御所の食と茶の湯、菓子作りの秘話、そして京の歳時記と京都人気質を語る。
目次
序章 京都人気質入門―祇園界隈
第1章 道喜の粽がたり
第2章 葩餅、肴から茶菓子へ
第3章 宮中の歳時記、茶の湯の四季
第4章 京菓子の生活文化
第5章 御所、幕府そして川端家
終章 伝統をこえて
1 ~ 1件/全1件
- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
19
「和宮様御留」にも出てくる粽・葩餅で有名な京都老舗の和菓子屋・川端道喜15代目の語る和菓子事情。粽や葩餅の成立の経緯、味・品質を変えないために、あくまでも手間がかかる製法を遵守するという匠の心意気や、誤解?されがちな京都人気質が形成された経緯について詳しく書かれていて納得。宮中行事と菓子の歴史、あるいは御所の懐事情まで初めて知りました。道喜の粽が毎年1月に納められている西本願寺では、もはやその謂れは失われ、道喜側でも経緯はわからないものの、今さらやめられないといった京都らしい話が盛り沢山です。おススメ!2021/11/23
paluko
10
タイトルが「京都の和菓子」でなく「和菓子の京都」なのは読んでみれば納得で、京都の歴史・生活・文化・気質から説き起こして御粽司(おんちまきし)川端道喜の成り立ちが語られていき、5章では歴史に関する著者なりの仮説もあり、歴史に興味のある人にも読み応えのある内容かと思います。有吉佐和子『和宮様御留』に登場した「おあつあつ」(花びら餅)「粽」から興味を持ち読んでみたいと思いながら本が見つけられずにいましたが古書ソオダ水で幸運な出会いがありようやく読むことができました。花びら餅の想像を絶するデリケートさも驚き。2021/11/02
Yuka
7
「川端道喜」の名前を知ったのは中学生の時に読んだ有吉佐和子の「和宮様御留」に出てくる花びら餅で。読後、他店の花びら餅を食べて、(当時は)小豆嫌いだった私が唯一美味しいと思えた和菓子が花びら餅だった。川端道喜には憧れ続けるも口にしたことは無し。それにしても添加物を使用せず、最高級を追求し続ける和菓子作りの大変なこと!同じ御所御用でも虎屋とは大違いの零細企業(失礼!)。何とか長きに渡って今日の和菓子文化の継承者であり続けて欲しい。2016/12/04
深窓
4
川端道喜の15代目が書いた本。出版直後に亡くなったので、おそらく最後の作品。道喜の粽から、葩餅まで様々な和菓子の由来や裏話がスケッチを交えて書かれている。和菓子の話だけでなく、出入りの菓子屋という視点から見た御所や幕府の話もあって、興味深かった。2014/01/13
Toshiyuki Marumo
3
岩波新書の新刊『和菓子の京都(増補版)』。 著者の川端道喜は室町時代から続く粽(ちまき)で有名な京都の和菓子の老舗「川端道喜」の十五代目。本書には「川端道喜」の起請文が掲載されている。 「一 正直なるべきは無論の事 表には稼業大切に 内心には欲張らず品物吟味して乱造せざる事 一 声なくして人を呼ぶという意 味う事」 欲張ることなく、乱造することなく、品物で人を呼びなさい。宣伝は不要。という意味だろうか… 反時代的ながら「ものづくり」に関わるものは心に留め置くべき大切な教えかも知れません。2025/05/30