出版社内容情報
一九二八年十一月,ひとりの新聞記者が上海に赴任した.後にゾルゲ事件によって処刑される尾崎秀実は,混迷の只中にある中国の現実に直面し,魯迅,スメドレー,ゾルゲ等の知職人たちと交流する中で,中国の民族的解放やアジアの自立の途を探る.兄の生と死を追跡してきた著者が,長年の取材を基に“魔都”上海を舞台にした青春群像を描く.
内容説明
1928年11月、ひとりの新聞記者が上海に赴任した。後にゾルゲ事件によってスパイとして処刑される尾崎秀実は、混迷の只中にある中国の現実に直面し、魯迅、スメドレー、ゾルゲ等の知識人たちと交流しながら、中国の民族的解放やアジアの自立の途を探る。兄・秀実の生と死を追跡してきた著者が、“魔都”上海を舞台に描く青春群像。
目次
序章 上海へ‐1928年11月
第1章 朝日新聞上海支局‐1929年
第2章 スメドレー、魯迅との出会い‐1930年春
第3章 左連の群像‐1930年夏
第4章 学園闘争と日中の連帯‐1930年秋
第5章 9・18事変前後‐1931年秋
終わりのない章 1932年1月
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
11
C+ 著者の兄・尾崎秀実を中心に、魯迅、スメドレー、ゾルゲなど、時代に大きく関わった人物たちが出会った街として上海を捉え、そこから1930年代を考察。内山完造ら上海在住の日本人知識人と、現地の中国人との文化的交流が、やがて戦争にむかう時勢の中で、政治的繋がりへ変化していく。人も思想も文化もイデオロギーも混沌とした上海という場所が、日本人の侵攻によって一気に戦争に巻き込まれてていく流れがよくわかる。それにしても、内山完造が上海で開き、サロンと化していた内山書店(現在も神保町にあり)の存在が興味をひく。2012/09/23
jj
3
1989刊。ゾルゲ事件でスパイとして処刑される、朝日新聞 新聞記者 尾崎秀実。1928年11月から32年1月まで、上海を舞台として、魯迅、スメドレー、ゾルゲ、河合貞吉、王学文、夏、陶、等の知識人との交流を描く。当時から知識人に多く左派活動家が存在していたという事。左翼、コミュニストにとっての1930年代経済発展が著しい上海。上海事変、戦後の共産化、革命という名の大虐殺。んー、その後の歴史的事実に照らし合わせると、この左派賛美的な内容に馴染めないのも事実。朝日新聞が関わっていたという事は何故か興味深い。2019/09/28
ユウヤ
0
スメドレーの存在が印象的。ゾルゲが「満州事変がソ連にとって容易ならざる新事態」というあたりは緊迫感が伝わる。ところで、上海事変の導火線となった僧侶殺傷事件は日蓮宗僧侶に信者もいたことは初めて知った。田中隆吉の名も久しぶりに目にしたし。2013/05/26
丰
0
Y-112000/12/20