出版社内容情報
「元始女性は太陽であった」.日本の近代における女性の目ざめを高らかに宣言した雑誌『青鞜』は,平塚らいてうらの手によって一九一一年創刊された.家制度への反逆,良妻賢母主義との対決を通して,自我を追求し,愛と性の自由を徹底的に求め実践した「新しい女」たちの群像.それは時代をこえて真摯な生の探求を呼びかけてやまない.
内容説明
「元始女性は太陽であった」。日本の近代における女性の目ざめを高らかに宣言した雑誌『青鞜』は平塚らいてうらの手によって1911年創刊された。家制度への反逆、良妻賢母主義との対決を通して、自我を追求し、愛と性の自由を徹底的に求め実践した「新しい女」たちの群像。それは時代をこえて真摯な生の探求を呼びかけてやまない。
目次
1 元始女性は太陽であった
2 ニュー・ウーマンの誕生
3 スキャンダルの意味するもの
4 山の動く日来る
5 ノラ宣言の年
6 逆風をうける
7 自分は新しい女である
8 習俗打破
9 性と愛―その争闘
10 青鞜挽歌
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
35
【女性のなすことは今はただ嘲りの笑を招くばかりである。私はよく知っている。嘲りの下には隠れたる或ものを「元始女性は太陽であった」】1988年発刊の新書だが、冒頭の小題「創刊の辞」の文章からして魅惑的で――。<灯のしたには、若い女がひとり、白磁の香炉に長い線香をたてて、座禅を組んでいる/年来の禅の修業は、異常なまでの集中力を彼女に与えていた。それまでの思索のすべてが、無念無想の刃先に凝って、そうとは意識せぬままに、新しい時代の幕を切り裂き、20世紀も末の現在に至るまで、女たちの“近代”を照らしつづける>。⇒2022/01/23
壱萬参仟縁
10
最後の昭和、63年に出た本。家制度の下での、姦通問題を扱ったもの第2巻第4号が発禁処分とのこと(102頁)。民法でいう、公序良俗に反する内容だからだろうかも。男尊女卑、女工哀史、女性の自由を奪う、角隠しだの、そういう時代だったので。らいてうは、一葉を批判している(123頁)。女と女の戦いか。「利害の打算と、便宜の結果」という結婚制度への理不尽への呪い(167頁)。自由が渇望されていた時代である。上野千鶴子先生の本を参照してみたくなった。2013/08/09
tegi
2
「輝かしい伝説」と言うだけあって、青鞜に理想を見たい筆者の思い入れがしばしば「青鞜」やその周辺の人々の理想的でない部分を見逃しがちとは思える(その点森まゆみはいい仕事していると思う)。しかし参加者たちの名簿の発掘・整理など、そもそも研究が進む前段階の部分を担った人だけあって、特にメジャーでない書き手たちの情報が意外に多く、結果として青鞜の枠よりもう少し広い日本全体の女性たちを描きかけている。読者像までカバーできていれば傑作となりえたかもしれない。2019/07/22
Tom5k
2
大正デモクラシーの時代は、デイヴィッド・リースマンの云う内部指向から他人指向への過渡期として、商業文化のマーケットが形作られていった時代だったのでしょう。既に大衆は政治的ではなく、ジャーナリズムも政治的役割を担わず、そのスタイルの違いは「青鞜」が休刊し「婦人公論」が現在まで継続していることにより証されていると思います。スキャンダルも新しい女という先進の思想もすべては商品化との激しい闘いだと感じますが、そこから現在まで繋がる本物の女性解放の成果は、あらためて丁寧に拾いなおす価値があるように思います。2016/06/28
丰
1
Y-202008/04/08