出版社内容情報
「蹴球より生ずる騒動が原因にて不祥事の生ぜんやも知れぬ状況にかんがみ,かかる競技を行なうことを厳禁する」――十四世紀にロンドン市長の発した布告以来,さまざまな記録は,この球技が古くから母国イギリスで暴力と流血に彩られ,度重なる禁圧にもかかわらず民衆に愛されてきたことを語っている.サッカー,ラグビーの波乱に満ちた前史.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃん吉
3
戯曲、俗謡、詩、書簡等々の当時の文献、資料を幅広く渉猟、引用して、近代スポーツとなる以前のフットボールの姿が示されています。原著者は、文学研究者とのことで、引用の豊富さに驚かされました。ルールは未整備で、大怪我や死ぬことも珍しくないような荒々しい大衆の娯楽だったらしいという原初のフットボールの姿は興味深く、フットボールがイギリスの社会に深く根ざしていることが、よくわかる気がしました。 2021/10/12
Kenshi
2
新しい遊びが爆発的に流行するとエラいひとびとに嫌われるのはいつの時代も同じなんだなーと。2016/08/17
hi
2
前にワールドカップの本でも読んだけど、初期のサッカーがデスマッチすぎてしまいには笑えてくる(『極悪の遊戯』笑)。よく「フットボールは労働者階級の娯楽」っていうけど、こういう倫理もクソもない憂さ晴らしから始まって今は文化ってすごいな…ケンカ祭りみたいなもんかな。1938年の底本を訳して1985年に発行した本。古いけど、面白かった。2016/02/29
naoto
0
85年発行の本で、まだJリーグ前ですね。昔のイギリスの本の翻訳本で、やはりイギリスのフットボールの歴史が中心。協会ができてルールが確立されるまではかなり乱暴なスポーツだったようで、オージーボールのイメージに近いかな。2015/06/02
zerosant
0
なんとなくサッカーの歴史を知りたいと思って読んだ。フットボールの起源は古くてよくわからないけど、いつのまにか民衆の間で熱狂的に流行って、権力の側が禁止しようとしても止まらなかった。その頃のフットボールはとにかく暴力的すぎて、日頃のストレスがえげつなかったんだろうなと、その憂さ晴らしができる場としてこれほど熱狂的に流行したんだろうなということを理解できた。2022/10/26