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岩波新書
ドストエフスキー

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  • サイズ 新書判/ページ数 212,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004202868
  • NDC分類 980.28
  • Cコード C0298

出版社内容情報

一八八一年にドストエフスキーが没してから百年が経過した.この間,彼の作品は様々な事件や現象を驚くべき正確さで先取りしてきた.その予言性はいかにして可能になったのか.著者は彼の作品が持つ重層性,多義性を読み解き,十九世紀末のロシアの土壌から二十世紀の世界的現実を見通したドストエフスキー文学の新しさを解き明かす.

内容説明

1881年にドストエフスキーが没してから百年が経過した。この間、彼の作品は様々な事件や現象を驚くべき正確さで先取りしてきた。その予言性はいかにして可能になったのか。著者は彼の作品が持つ重層性、多義性を読み解き、十九世紀末のロシアの土壌から二十世紀の世界的現実を見通した、ドストエフスキー文学の新しさを解き明かす。

目次

1 新しい小説世界(「新しいゴーゴリ」の登場?;「哀れな人びと」か「貧しき人びと」か;プーシキンの発見―メタ文学;題名ラプソディ;聖と俗の二層舞台;ゼロの語り手)
2 ロシアの土壌、ロシアの神々(「悪霊たち」のルーツ;「白痴=ユロージヴイ」の系譜;分離派セクトの人びと;巡礼歌の旋律;異界との触れ合い)
3 小説をまねる現実(予告された皇帝暗殺;恐怖としての民衆;ユートピアと逆ユートピア;世界を救うのは美?)

著者等紹介

江川卓[エガワタク]
本名・馬場宏。1927‐2001年。1951年東京大学法学部卒業。専攻はロシア文学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

カブトムシ

27
夏休みの研修義務で、野尻湖畔で江川卓氏の講演をお聴きして、この本を購入したのか?忘れてしまった。講演の内容もそうである。「ドストエフスキーの作品たちは、作家の死後にこそ新たな生命をを獲得し、自身の新しい生を生きはじめた。彼の作品たちは、この百年の間に生起したさまざまな事件や現象を、いつも驚くほどの正確さで先取りしてきた。それぞれの時代に生きた人びとの心理を、気分を、さらには無意識をさえ洞察してきた。それは現代にも及んでおり、予見しうるかぎりの未来にも及ぶのではないかと思われる」(本書より)。1984年刊。

リボー

26
古本屋で背表紙をみて「巨人の江川卓がロシア文学を語っているのか…」と興味を持って購入した一冊。しかしこれは完全な勘違いで、「えがわたく」さんというロシア文学者が書いたものだった。無知は怖い。内容は独特の解釈で初心者にも分かりやすく自説を語っており、それが通説かは分かりませんが、肝は理解しやすいように工夫されていると思います。2012/08/12

マーブル

10
筆者の江川卓は、ご存知多くのドストエフスキー作品の訳者である。今回読んだ新潮社文庫版『地下室の手記』も同様。 Wikipediaによると江川はドストエフスキー文学のダブルミーニングなどについて研究を行ったとある。実際、本書でもその傾向はまえがきからあとがきまで一貫したテーマのひとつとなっている。ネット情報の力を借りて今考えると、このあたりが興味深くはあるのだが、一筋縄では理解ができない理由になるのかもしれない。2018/06/30

Vakira

10
たまたま普段行かない本屋で発見。前から読みたかったので早速購入。さすが江川さん。実際に翻訳者だけあってかなりディープな解説。判らない部分もあるが、ドストの隠された手品の様な解釈は面白く読めた。筆者は新潮新書で謎解きシリーズも執筆しているので読んでみようと思った。2014/05/21

bibliophage

8
ロシア語やロシアの文化などからドストエフスキーの作品を読み解く。はじめの方は、処女作の『貧しき人々』をゴーゴリやプーシキンとの関わりから見ていく。「語り手」の話:①一人称の告白体ないし回想体の小説群(地下室の手記)、②一人称の語り手は登場するのだが、内容はその語り手の告白や回想ではなく語り手が記録者の立場に徹しようとしている小説(悪霊,カラマーゾフの兄弟)、③一見伝統的な小説形式の三人称で書かれた小説群(罪と罰(はじめ一人称体の小説と構想された), 白痴(途中から筆者を名乗る語り手が登場))2017/04/09

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