出版社内容情報
インフレーションや寡占といった経済現象,さらには,環境破壊や公害,人間疎外などの社会問題に,現代の経済学は有効に対処できているだろうか.いわゆる近代経済学の理論的な支柱をなす新古典派経済理論の検討からはじめて,ケインズ理論の意義と限界を考察し,今日の経済学が当面する危機を乗りこえる方途をさぐる.
内容説明
インフレーションや寡占といった経済現象、さらには、環境破壊や公害、人間疎外などの社会問題に、現代の経済学は有効に対処できているだろうか。いわゆる近代経済学の理論的な支柱をなす新古典派経済理論の検討からはじめて、ケインズ理論の意義と限界を考察し、今日の経済学が当面する危機を乗りこえる方途をさぐる。
目次
序章
1 新古典派理論の輪郭―ワルラスの一般均衡モデル
2 新古典派理論の基本的枠組み
3 ケインズ理論の展開
4 動学的不均衡理論の構想
5 社会的共通資本の理論(一)―市民の基本的権利
6 社会的共通資本の理論(二)―社会的安定性
著者等紹介
宇沢弘文[ウザワヒロフミ]
1928‐2014年。1951年東京大学理学部数学科卒業。専攻は経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
92
宇沢先生の「自動車の社会的費用」に続く、近代経済学理論の考え方のエッセンスが収められています。最初には日本経済の現状が書かれていて(序章という割にはかなりなボリュームがあるのですが)、その後に新古典派理論やケインズ理論、宇沢先生が一番強調したい社会的共通資本の理論について述べられています。新書なのでもう少し内容のある本で読みなおしたい気がします。2024/02/22
kaizen@名古屋de朝活読書会
20
「自動車の社会的費用」を書いた宇沢弘文が、より幅広い経済学の視点を提供している。 市場現象に限定しすぎて、より広範な視点を無視しすぎてきたことを反省している。 カール・ポランニーらの経済文明論の流れを汲む、玉野井芳郎の、同時代の論調とも共通性がある。 異なる学派であっても、時代の制約を理解し、それに対して解を出そうという努力が見られる。 2024/10/04