感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シルク
13
何度目かもう分からん再読。…しかし、あれだ。学生の頃から、時には買って線引いて読み、時には図書館で借りて読み~を繰り返して、さすがに20年も経つとだ、だんだん、本の中身がもう自分のなかに、入ってる。最初の頃は、たとえば付箋を貼りながらとかでも、バチバチにあちこち貼ってたものでした。けど今回はずいぶん落ち着いたもんです。…シュタイナーが、「記憶する」を、「目の前にないものを思い描くこと」の意味で言ってることについて探求している今の自分には、今回この本は、ここが、ピピーンときた。→「それ(※心象をもつこと)→2023/04/30
シルク
13
ヒトは他の哺乳動物と比べると、著しく本能に欠けた状態でこの世に生まれ落ちる。生まれて一時間程で、よろめきながらも立ち上がり、親と同じようにもぎゅもぎゅ草を食む馬を見よ。子犬は目はまだ開いていなくても、ふらふらと母の乳房の方へとその身を運んでいく――嗅覚はもう立派に、発達しているのだ。猿を見よ。その小さな手の、恐るべき握力。母親のからだにしがみつき、運搬され、食を与えられる為――保護される為のものである。ヒトの赤ちゃんは? ……自分だけでは何も出来ない、柔らかく頼りなく、ふにゃふにゃと泣くことしか出来ない。2018/04/11
ヨンデル
10
★人間はどこまで動物か/アドルフ・ボルトマン著/高木正孝訳/岩波新書G121。この本は若いころ読んでいた本で再読です。当時は若かったのであまり理解できていなかったが、今回は得るところが多かった。この本が出版されたのは85年ほど前だから、今の科学ではもっと進んだ発見がある。ではこの本は古く役に立たないかというとそうではない。科学に限らず進歩には積み重ねが重要で、積み重ねて研究するからこそ新しい発見もあり進歩するのです。2025/05/24
ヨンデル
7
★人間どこまで動物か/アドルフ・ボルトマン/高木正孝/岩波新書/G121。古い本で最初に出たのが1944年で第二版が1951年、岩波新書版として1961年10月に第1刷り発行と書かれているので、最初に出された本から数えると実に80年たっている。まさに名著である。人間とはどこからきてどこに向かっているのか ? という思いは、おそらく感情が芽生えてからの疑問だろう。その思いも含めて信仰心も芽生えたのではないかと思う。感情が芽生えた時期はおそらく誰にもまだ解っていないと思う。2024/07/26
roughfractus02
7
高等哺乳類はほぼ成体の形で生まれ親と同じ行動が可能だが、人間は長い間周囲の助けを要する。著者はこれを「生理的早産」と呼ぶ。この特異な出生の仕方によって、人間は他の動物と比べて後天的な教育的機能への依存度が高くなる。重要なのは、著者がこれを俗化した進化心理学の説明ように進化論的な決定論に留まらせない点である。著者は、ゆえに人間は自由であるという。ここから本書は、哲学的人間論へシフトし、本来集巣性でありながら離巣性へ向かう人間の「個性」の形成を親や環境との関係から文化へ広げ、生態学的に社会システムを検討する。2021/08/21