岩波新書
本の中の世界

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 207p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004150909
  • NDC分類 019.1
  • Cコード C0295

出版社内容情報

読者はこの本で湯川博士のくつろいだ姿に接することができる.読者とともに散歩しつつ,読書の思い出を述べ,あるときはエラスムス,アインシュタインにふれて世界観を語り,あるときは荘子,墨子,ドストエフスキーに説き及んで人生を語る.科学的思索を支える教養の広くゆたかな裾野が峰の高さをしのばせる.

内容説明

読者はこの本で湯川博士のくつろいだ姿に接することができる。読者とともに散歩しつつ、読書の思い出を述べ、あるときはエラスムス、アインシュタインにふれて世界観を語り、あるときは荘子、墨子、ドストエフスキーに説き及んで人生を語る。科学的思索をささえる教養の広くゆたかな据野が峰の高さをしのばせる。

目次

「荘子」
「近松浄瑠璃」
「カラマーゾフの兄弟」
「舞姫」
エラスムス「平和の訴え」
「山家集」「伊勢物語」
「文章軌範」
「ナンセン伝」
「近世畸人伝」
「墨子」
エピクロス
「狂言記」
「唐詩選」
「海潮音」
「ラッセル放談録」
「あめりか物語」
「わが世界観」「晩年に想う」
「東西遊記」
「源氏物語」
自分が書いた本
短い自叙伝―或る物理学者の宿命

著者等紹介

湯川秀樹[ユカワヒデキ]
1907年‐1981年。1929年京都大学物理学部物理学科卒業。専攻は基礎物理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅてふぁん

55
どんな書物を読んでも物理学に通じる箇所を見つける湯川博士、流石です。思考の中心が物理学と老荘思想…和歌を読んでも物理学に通じる、だなんてたとえ太陽が西から昇ったとしても私にはそんな発想はない。そしてそんな解釈をも許してしまう和歌にきゅんとした(笑)『本の面白さにはいろいろあるが、一つの書物がそれ自身の世界をつくり出していて、読者がその世界に、しばらくの間でも没入してしまえるというような本を私は特に愛好する。(P8)』そうして湯川博士が先ず取り上げたのが『荘子』だったので、私も読んでみようと思う。⇒2019/02/28

inami

21
◉読書 ★3 本日、2020年のノーベル物理学賞受賞者が発表された。本書は、70年ほど前の1949年(昭和24年)日本人初のノーベル賞(中間子予想による物理学賞)受賞者である湯川博士が、20冊ほどの書物との出会いや感想を綴ったもの。「家じゅうがさまざまな種類の書物で一杯になっていた、今も昔も一番好きな書物といえば、結局は老子とか荘子とかいうことになる」と・・、それにしても「アインシュタインのお宅をときどき訪れて四方山話をした」とか「博士が敬愛するマックス・プランクが健在」だったり、すごい!いい時代だなあ〜2020/10/05

SOHSA

20
人はどのような本を読みどんな感想を抱くかでその人の人となりが見えてくるようだ。本書は湯川博士が学生時代に読んだいくつかの本とその本に関わる感想、エッセイである。日本を代表する物理学者であった博士が若いころに夢中になった本について興味があったが、意外にも荘子、浄瑠璃、山家集、伊勢物語などどれも文系そのものといった作品であることに驚いた。また、エッセイは湯川博士の穏やかでありながらも実直で一途な人柄がほんのりと感じられるものだった。2013/04/04

kazuさん

18
本書の最初に荘子を取り上げ、更に、"短い自叙伝" の最後にも老子や荘子に言及する。小学校に入る前から、祖父について漢学を学び、中学校に入ってから、父の書斎にあった老子や荘子を読み、特に荘子に惹かれた。物理学はもともとギリシャ思想が根底にあるが、著者が物理学の問題を考える時には、東洋的な思想に強く影響を受けたのは興味深い。2021/02/16

ykshzk(虎猫図案房)

17
賞を与えて海外の講演に引っ張り回したことは、著者の人生の大事な時間を奪ったに過ぎないと思えてしまった。だって、著者自身が「苦労してお金を工面して外国まで行って、自分の考えていることを共有出来ない外国の人に話すのは無駄、かといって世間話をするのも空虚、それより黙って勉強していたい」と書いているのだから。そんな著者の根底にあるのは幼い頃に触れた老子や荘子などの本。1947年に作った著者の「原子と人間」という詩は、もっと人口に膾炙すべき?詩と思う。約20冊の本への著者の独特な考察は、心を静かにしてくれる。 2019/12/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/496106
  • ご注意事項