出版社内容情報
南アメリカの南端,アンデス山脈が海に没して消えるところ,そこがパタゴニアだ.本書は,日本・チリ合同パタゴニア探検隊が,言語・風俗・習慣の違いを超えた友情に結ばれつつ前人未到の大氷河地帯を突破し,処女峰アレナーレスに登頂した時の記録である.登山家,探検家として著名な著者はタヒチ近海で行方不明となった.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
人類学者兼登山家の著者は、未登峰未探検地域の学術調査とスポーツ的な登山を目的に、チリ山岳協会に手紙を送る。チリ側に滞在費、食糧、交通費を負担して貰う代わりに遠征に必要な装備は全て日本側が用意し終了後、チリ側に全て提供するというもの。登山装備を製作しておらず輸入も禁止されていたチリ側はそれを受け入れる。先遣隊の著者達は汽船に二人だけで乗込みシスコ経由でチリを目指すが…。様々な逸話や観察眼が光る良書である。著者はその後、この原稿を岩波に託したまま、タヒチ島周辺調査中に行方不明となる。これはその遺産である。2020/12/07
モカ・ベリー
0
60年前、まだパタゴニアが未踏の地だった頃に、日本とチリが合同で行った探検を記したもの。山岳家で心理学者でもある著者の観察眼は素晴らしい。読みやすく書かれていて、スラスラ読める。あーやっぱり、山ってかっこいいなあ、と思うし、山が好きな男はかっこいいなあ、と思う!2016/09/27