出版社内容情報
能は六百年前,観阿弥と世阿弥父子によって大成されて以来,わが国の代表的な舞台芸術として生きつづけてきた.しかし現代の私たちは,激動の南北時代に猿楽という民衆芸能の中から生まれた能の生きいきした姿を忘れてはいないだろうか.能が芸術として完成してゆく過程とその時代背景を追求して,能が現代に対してもつ意味を問う.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シンドバッド
4
太平記から本書が始まるとは全く予想外。 岩波新書から同時代ライブラリーで再刊されているということは、本書の価値を表している。2013/09/25
issy
0
「太平記」の時代の政治や戦乱、座や村、身分や職業などの社会文化風俗の理解を通して、能を芸術として高めた観阿弥・世阿弥父子の生涯が詳説されている。時代背景や彼らを取り巻く環境、能の社会的役割の変化が、観阿弥と世阿弥の人生・芸術観の違いに繋がっている、という分析が興味深い。芸は身で覚え、自らを「離見の見」で見、「してみてよきにつくべし」という世阿弥の生き方には、現代にも通じる普遍性を感じた。2010/02/06
こんがら童子
0
改めて読み直したが、今なお重要な指摘は多く感じたし、とても突っ込んだ内容で、現在の浅くて軽い新書とは全く次元が違う。2009/08/18