出版社内容情報
西欧諸国の植民地として分断され,苛酷な搾取を受けてきたアフリカは,特異な文学的風土をもつ.一九九一年度のノーベル文学賞受賞者で,自身南ア共和国の優れた白人女性作家である著者は,六○年代以降独立解放闘争に伴って隆盛をみた大陸全体にわたるアフリカ人作家たちの英語による創作活動を,西欧をも含めた広い文脈の中で概観する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
9
アフリカ文学概観。カリブ海を起源としたネグリチュード運動について語る。だが古い分、所々、欧州人を用いて説明しているのが気になる。「作者ンワパは、この小説のテーマを完全に把握し切っているとはいえない…ここで読者はあの有名な、ストーリとプロットの区別を述べたE・M・フォスターの定義を思い起こしてほしい」とか「アチュベは、ヘーゲルのいう世界史的人物を主人公に選らんでいる」等々。ヘーゲルで全部説明できた時代。とはいえ今なら黒人文学(文化)はイスラームとフェミニズムという相矛盾するもので説明されてしまうのだろうか。2020/11/13
藤田桜
0
アフリカ文学のガイドブックというよりは、ゴーディマの視点を楽しむ本だったように思う。おまけで土屋哲さんのアフリカ文学解説も載っているので、一粒で二度おいしい。 あとやっぱアチェベは小説上手くて、グギは荒削りだけど熱量あるタイプだよねー、って感じの評価なのかー、と読んでいて思いました。 ラテンアメリカ文学と比較しながら読んだ。技術的に洗練されてない作家が目立つ。表現そのものへの関心もやや薄いか。ラテンアメリカが欧米文学の延長線にあるのに対して、アフリカはそれを拒否することから始まったゆえだろうか。2024/08/28