岩波新書<br> 近衛文麿―「運命」の政治家

岩波新書
近衛文麿―「運命」の政治家

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  • サイズ 新書判/ページ数 249p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004131335
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0223

出版社内容情報

近衛文麿は,昭和十二年以来困難を加える内外情勢に対処すべく三度首相の座についた.が,その内閣は終始軍部に操縦・翻弄され,日本は戦争と破局への道を歩むことになった.本書は,敗戦後に服毒自殺によって戦犯裁判を拒んだこの政治家の性格・思想,その果した役割を明らかにしつつ,政治責任とは何かについての貴重な示唆を与える.

内容説明

名門に生まれ若くして声望をになった近衛文麿は、日中戦争下、困難の度を加える内外情勢に対処すべく、世の期待を集めて三たび首相の座についた。しかし、その内閣は、終始軍部に操縦され翻弄されてなすすべもなく、日本は戦争と破局への道をつき進むことになった。自らを「運命の児」と称したこの悲劇的政治家の思想と行動を描く。

目次

1 その若き日々
2 政界の「新星」
3 最初の組閣
4 幻を追って
5 破局への途
6 渦巻く戦雲の下で
7 敗戦とその死

著者等紹介

岡義武[オカヨシタケ]
1902‐90年。1926年東京大学法学部卒業。専攻、政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Sumichika3

26
筒井氏の論考と併せ、いずれ再読したいと思う。初読は、高校二年の頃。記憶に残っていないが、冒頭その生誕の由緒について、近衛邸の庭から六匹の亀が現れたことに因んで幕末の関白として知られる近衛忠熙が爾雅を引いて命名したと述べる件で風格ある書きぶりに魅了された。読了後「山縣有朋」や「近代日本の政治家」の西園寺公望や犬養毅の評伝を続けて読んだ。大学時代、ヨーロッパ政治史の定期試験の勉強のため「近代ヨーロッパ政治史」を読み、コンパクトな記述でありながら、学習者の理解を目的とする優れたテキストだと感じ入ったものだ。2017/02/08

7
柔軟さや聞き上手は、政治家にとっては時に悪徳になり得る。リーダーシップのあり方を考えさせられる。 「”私は日本をこのような敗戦に陥れた野心家の者共を、…終戦後一気に検挙をして思い知らせてやりたいと思う”…近衛は…太平洋戦争の勃発をいかにかして回避しようとして彼なりに一方ならぬ苦慮を重ねた。…しかし、…この戦争が用意されるにいたった過程に遡るとき、首相であった近衛は果たして責任を全くまぬかれうるであろうか。…近衛の以上の言葉は、…政治責任に関する彼の観念をうかがわせるものともいえよう。」(p.197)2024/01/05

フンフン

5
近衛の伝記はいくつも読んだ。矢部貞治のが詳しいが、岡義武の新書版は概略をつかむのに好適。2021/08/11

figaro

4
客観的な資料に基づいて、政治家としての資質に欠けた人物が、難局にあたった際の国家の悲劇を示している。近衛は公家筆頭の家柄に生まれ、昭和天皇からも元老西園寺からも身内として保護され、期待された。世論も近衛に大きな期待を寄せた。しかし、定見もなく、憶病、決断力に欠け、冒険的な人事によりながらも、嫌気が指して政権を投げ出し、しかも、自己弁解に終始する。ギリギリのところで、日米交渉を模索するが、内を抑えることができないのに、外を頼ろうとしているようにしか見えない。難局における政治家の反面教師だろう。2020/04/10

バルジ

4
今から40年以上前に書かれたものであるが、その記述は今も尚全く古びていない。史料に即した実証的な記述は、当時歴史学界の主流であったマルクス主義的な色彩を一切感じなかった。 近衛文麿の足跡を辿るのには最適な一冊であろう。2016/10/03

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