出版社内容情報
一九一○年から四五年まで,朝鮮は日本の統治下におかれた.三十六年間にわたる日本の植民地支配の実態はどんなものであったか.歴代総督の治政,朝鮮を舞台とする日本資本の活動と朝鮮人民の独立運動,そして日本の「大陸侵攻作戦」の鍵としての朝鮮の役割など,豊富な資料にもとづいて明らかにする.『日韓併合小史』の続篇.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
36
図書館本。日本の植民地になっていた当時の朝鮮のことはあまり知られていない。総督府側の資料ばかりが多く、朝鮮側の資料がごく少ないためだ。以 前、右翼の人から「あの併合は朝鮮のためだった。併合でインフラ整備が進み韓国人は日本に感謝している。従軍慰安婦も喜んで従軍したのだ」と言わ れて驚いた。総督府側の資料だけを見ればそういうことになるのだろう。真実が知りたくてこの本を読んだ。漢字とカタカナの当時の文章が頻繁に出てくるので読みにくいが、当時、日本がいかに悪政をふるっていたかがわかる好著だった。2018/12/01
skunk_c
28
約40年ぶりの再読。戦前獄中にあった筋金入りの労働運動・革命家が戦後共産党幹部を辞してから著したもので『日韓併合小史』の続編に当たる。史料・統計を駆使し、朝鮮総督府の統治、困窮する小作農民、そして三一独立運動などの抵抗運動を生き生きと綴っている。民族運動を社会主義に引きつけて論じたり、木村光彦氏が指摘するようにやや結論先にありきな統計や史料解釈はあるが、出版50年近く経った今読んでも価値は失われていない。日中戦争開始後の工業化の進展にも触れている。木村氏の同名書と併読すると、両書がより生きるように思える。2018/10/24
kenitirokikuti
10
4 斎藤総督の文化政治 〈斎藤総督のやり方のちがう点は、三・一運動以後、彼のとった朝鮮人買収政策であった。〉独立宣言署名者の〈三三名の者は[…]崔南善をはじめ、ほとんどみな買収されてしまった。〉〈こんなことも原因で、民族主義者は民族解放運動の指導権をしだいに失い、その後朝鮮の民族運動で共産主義者がしだいに指導権をにぎるようになった。斎藤総督が逆説的ながら朝鮮人のために、多少ともよい方向へと統治したとすればこの点だけであろう。〉p.119 3.1以前の義兵運動の指導者層は韓国時代の武官とも。2019/06/13
hyena_no_papa
3
他の方が適切な感想を書かれており、中でもskunk_cさんは「約40年ぶりの再読」という点まで同じ。なので特段付け加えることもなく、、、ただネット上では〝日本はいいこともした〟という口調も見られるが、本書と『日韓併合小史』と併せて読んだ上で、なおそのような言葉を口にすることができるのか?朝鮮王朝最後の国王である高宗の葬儀の日を期して起こされた「三・一運動」とその中で起きた弾圧は目を覆いたくなるほど。軍部による留まるところを知らない膨張主義の行き着く先が敗戦。明治以来の半島政策のもたらす教訓は余りに大きい。2021/11/15
星辺気楽
1
客観的なデータは価値があるが、経済的以外のものもほしかった。2018/07/10