出版社内容情報
大逆事件に加わって幸徳秋水らと死刑の宣告を受け,1911年1月25日に31歳の若い命を失った管野すが.社会主義運動への参加,赤旗事件,大逆事件による入獄・刑死に至る迷いと悲しみに満ちた生涯を,日本の社会主義運動の黎明期である平民社の時代を背景に描き出す.合せて当時の若き革命家たちの姿を浮彫りにする.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
13
1970年初版、未だ読み継がれているらしいこの本は、大逆事件の時代背景や幸徳秋水をはじめとする当時の社会活動家たちの思想的変遷を明らかにするという意味では参考にはなりはする。しかしながら結局この本も、管野すがに対する根拠脆弱な中傷を追認、拡散する役目を負ってしまっているように思われた。2019/01/08
sk
5
当時の社会状況ではテロリストになるのもやむを得ない感じだ。2023/07/08
スズツキ
2
革命を標榜した社会主義者であり、刑死した管野すがの評伝。結構読みにくい。2016/02/20
Tom5k
1
民権より国権を優先して国家を発展させてきた明治末期、政治・経済の革命勢力や在日外国人を排斥する気運は必然だったのでしょうが、国内の経済、民衆の生活困窮も危機的状況でした。ニューヨーク証券取引所での株価が前年度最高値から50%も暴落した1907年の金融恐慌時には、日露戦争の戦勝国だったにも関わらず、造船所や軍需工場、炭鉱などでの労働争議が過去最高に達しました。天皇を圧政元凶としたテロ共謀の罪状からの社会主義者達への死刑執行は、多くの矛盾に苦悩していた「大日本帝国」後期の象徴的事件だったのかもしれません。2016/07/16