出版社内容情報
ソクラテスはなぜ毒杯を仰がねばならなかったか.この問いは,知を愛するとはどういうことか,人間はいかに生くべきかという問題につながっている.著者は,最新の研究にもとづき,ソクラテスの生活,その啓蒙思想,ダイモン,哲学を検討するとともに,アテナイの情報を明らかにすることにより,この問題に肉薄する.
内容説明
ソクラテスはなぜ毒杯を仰がねばならなかったか。この問いは、知を愛するとはどういうことか、人間はいかに生くべきかという問題につながっている。著者は、最新の研究にもとづき、ソクラテスの生活、その啓蒙思想、ダイモン、哲学を検討するとともに、アテナイの情報を明らかにすることにより、この問題に肉薄する。
目次
1 何をどこまで知ることができるか
2 生活的事実
3 啓蒙思想の流れに
4 ダイモンに憑かれて
5 デルポイ神託の謎
6 哲学
7 死まで
著者等紹介
田中美知太郎[タナカミチタロウ]
1902‐1985年。1926年京都大学文学部卒業。専攻は西洋古代哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
20
古代ギリシアでは病弱な人が多かったが、ソクラテスは丈夫だったという(42頁)。彼は、富や名誉のほかに、人間が特に留意しなければならない、もっと大切なものがあることを語る。不知の知とか、無智の自覚とか(153頁)。金銭や名誉は、必ずしも人を幸福にするものではない。それらが人間の幸福に役立ち得るためには、すぐれた精神を必要とする(159頁)。そのすぐれた精神の中身は、何なのか、考えねばならない。空威張りすることではないはずだ。見せびらかしの消費(T.ヴェブレン)でもないはずだ。社会の為に富を還元することだ。2013/08/15
えとろん
18
定評のある著作。ソクラテスについてはいろいろと言及されているので、しっかりした資料なりが整っているのかと思いきや、実はほとんどが伝聞や創作ではっきりとわからないところが多い。その中で断言できないといいつつ残された間接資料を駆使して著述しているのが好感が持てる。2024/10/08
masawo
18
今まで読んだ哲学・思想ジャンルの新書の中では断トツのNo.1であり、出版から半世紀を経た今なお模範的な新書と言える。ソクラテスの生涯を丹念に検証しつつ彼の思想の核心に迫る。ダイモン→智→徳の流れるような解説が素晴らしい。「はしがき」にもあるようにプラトン対話篇の有名どころと併せて読むことで相乗効果が期待できる。2021/09/23
Ex libris 毒餃子
16
ソクラテスの人となりをプラトンにあまり依存せずに書き出した本。どちらかと言うと、古典文献学的傾向。2023/01/15
mstr_kk
15
名著との呼び声高い本ですが、お恥ずかしながら初読。非常に感動的でした。ソクラテスはなぜ死ななければならなかったのか、という謎を、資料検討と思考の両面から徹底的に問い詰める、スリリングな論考です。めちゃくちゃ面白い。いちいち問いが深くて的確で、思考の密度は高いのに、文章には難解なところがありません。圧倒的名人芸。ソクラテスは歴史と政治の中で哲学をしていたんだなあと、思いを馳せました。哲学を(哲学について)考える土台になるような本だと思います。もっと早く読んでいればよかった。2017/03/18
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